蛍火のような恋だった
初めて見る海は、今まで見た景色の中で、いちばん綺麗なものだった。
ふわりと風が吹くと、初めてかぐ香りが鼻をくすぐる。
「これが、潮の匂い…」
どこか香ばしい匂いを、鼻いっぱいに吸い込む。
目を閉じると、ザブン、ザブンと絶え間なく押し寄せる波の音が心地よく響いてきた。
初めての色、匂い、音が、私の全身をくすぐる。
砂の感触を直に味わってみたくて、私はサンダルを脱いだ。
「…くすぐったい」
なんだか不思議な感覚に、凪くんを振り返る。
凪くんはどこか満足気に、小さく笑った。