蛍火のような恋だった
「蛍…ここまで、よく頑張ったな」
冷たい手を、ぎゅっと握る。
「俺、蛍に出逢えてよかったよ。ありがとう」
蛍の手が、微かに動いた気がした。
俺は蛍の薬指にはめられた指輪に、キスをする。
「おやすみ、蛍。…ずっと、愛してるよ」
固く閉じていた蛍の目から、一粒の涙が光る。
涙が流れ落ちた瞬間、心電図の数字が、0を示した。
余命宣告よりも、1ヶ月早い。
けど、この5ヶ月間を、蛍は必死に生きた。
その灯火が、そっと終わりを迎えた瞬間だった。