ネオンー教えてくれたのは"大人な恋"ー
「…じゃ、今日もありがと」

飛悠は席を立つ前に軽く頭を下げた


毎回こうして静かに終わる

当たり障りなく
必要以上に踏み込んでこない

なのに私は

この時間が終わるたびに、妙な寂しさを感じてた

 

帰り道___


スマホを開いては、無意味に画面を眺める

連絡先なんてもちろん知らない
飛悠のプライベートなんて何一つ知らない

それなのに、頭の中はまた今日の会話ばかり繰り返してた

 

──彼女いないの?


あの時の自分の言葉が、何度も浮かぶ

少し重たかったかな

気にしてる自分が、なんか馬鹿みたいで腹立たしくなる

「…ほんと、何してんだろ」



誰かと話したいわけでもない

学校の友達にこんな話する気もない

バカにされるのがオチだ

 

私が付き合ってきた人たちなんて
全部”暇つぶし”みたいなもんだった


何人告白されても
誰に優しくされても
結局すぐ飽きるだけだった

なのに──

「…飛悠くんは、違うんだよね」

ぽつりと独り言みたいに呟いた

会いたいとか
話したいとか

そういう感情が、自分でも制御できなくなってるのを感じてた

まだ
全然知らないくせに

 

ただ
もう普通の男子なんて目に入らなくなってた
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