ネオンー教えてくれたのは"大人な恋"ー


 

放課後
今日は寄り道せずに帰るつもりだった

だけど
ふと足が向いたのは、あの繁華街の通りだった

「…なんでこっち来ちゃったんだろ」



自分でもよく分からないまま
吸い寄せられるように歩いてた

まだ夕方
ネオンが光るには少し早い時間帯の街

少し先に、見覚えのある横顔が目に入った

 

──あ…

 

黒のシャツにジャケット
少し無造作な髪
その隣には、見たことのない女の人

二人は並んで歩いていた

女の人が何か話しかけて
飛悠は少しだけ笑って頷いてる

仕事の顔とはまた違う
柔らかく見えたその笑顔に、心臓がズクンと鳴った

 

…何してるんだろう

 

アフターなのか、それともプライベートなのか


考えたくないのに
頭の中でぐるぐる回り始める

「……」

気付かれないように足を止めて
小さく背を向けた

見たくなかった
でも、見てしまった

あの人の隣に立てるのは──私じゃないんだ

 

胸の奥が苦しくて
自分でびっくりした

__こんな気持ち

今までの誰に対しても感じたことなんてなかったのに



「…はぁ」

ため息混じりに歩き出す


___踏み出すたびに


心臓がまだドクドクとうるさく鳴ってた
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