年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


『あの男なら十分食べさせてくれるはずだ。仕事だってやめられる。断る理由などないだろう』

その内容に、父が私のことをなにひとつ理解していないのだと、改めて思い知らされる。

私は誰かに養ってほしいと思ったこともないし、ましてや結婚したいとも考えたことはない。だから、こんな話をされてうれしいはずがない。

ようやく仕事を通じて、自分の居場所を見つけたのに。結局、こういうことを言われるのか。

しかし、そんなことを父に話したところでなにも変わらないことも、わかりきっている。

 
鷹野奏多。彼は私の二歳年下だから、今年で二十九歳になるはずだ。今現在、私と彼とのかかわりは多くはない。

一番初めに会った、いや、ほとんど見ただけだが——十歳になるかならないかくらいのころ、LATグループのパーティーだったと思う。我が家もグループ会社として招かれた会だ。

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