年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
莉子ちゃんをはじめ、スタッフが駆け寄る。表情には不安も見えるが、みんなすでに職務を全うしているようだった。空港スタッフとしてのプロ意識を感じる。
こういうときほど、冷静にならなければ。私は深く息を吸い込み、落ち着いた声で指示を出した。
「降機されるお客様がどんな状態か、まだわかりません。ブランケット、飲み物、車椅子の準備を。医療スタッフの要請もしておいてください。パニックになっている方もいるかもしれないから、落ち着いて対応しましょう」
「はい!」
スタッフたちが一斉に動き出す。バタバタと駆け回る足音が響き、緊急対応のための物資が次々と運び込まれる。滑走路の向こうでは、消防車や救急車が続々と配備されていた。
そのときだった――。
「LAT151便、操縦室では最終的なギア展開試行を終え、コントロール不能であることが確認されました。まもなく胴体着陸に入ります!」
管制塔からの声が響き、ゲートそばにいた私は反射的に窓の外に視線を向けた。
滑走路にはすでに消防車、救急車、整備スタッフなどが配置され、みんなが固唾を呑んで機体を見守っている。
通常の着陸なら、機体は前輪と後輪の両方でバランスよく接地する。だが今回は主脚(ランディングギア)の片側が降りない。つまり、機体の片側を引きずりながらの着陸となる。