紅椿の契り~後宮に咲いた偽りの華~
番外編① 結婚式と妊娠報告の夜
一、紅椿の誓い
春の離宮。満開の紅椿に囲まれた庭園で、雅美は白無垢に身を包んでいた。
「……これが、正式な“嫁入り”か」
隣に立つ天焉は、黒の狩衣姿。
帝だった頃よりも柔らかい顔つきになったが、瞳の奥にある支配欲は何も変わっていない。
「お前が“俺の妻”だって、神にも世にも認めさせる日だ」
「ふふ、もうとっくにあなたのものだけど?」
「それでも足りない。式を挙げて、印をつけて、身体に覚え込ませて……それでも、まだ欲しい」
式の最中でも、天焉の指は密かに雅美の指を撫で、
耳元で呟いたその声に、雅美の耳はほんのり赤く染まった。
春の離宮。満開の紅椿に囲まれた庭園で、雅美は白無垢に身を包んでいた。
「……これが、正式な“嫁入り”か」
隣に立つ天焉は、黒の狩衣姿。
帝だった頃よりも柔らかい顔つきになったが、瞳の奥にある支配欲は何も変わっていない。
「お前が“俺の妻”だって、神にも世にも認めさせる日だ」
「ふふ、もうとっくにあなたのものだけど?」
「それでも足りない。式を挙げて、印をつけて、身体に覚え込ませて……それでも、まだ欲しい」
式の最中でも、天焉の指は密かに雅美の指を撫で、
耳元で呟いたその声に、雅美の耳はほんのり赤く染まった。