家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「あの子、落ち着いたみたいだわ。」

ルシアからの手紙を読み終えて、私は微笑みながらセドリックに話しかけた。

「ふーん。」

彼は本を閉じながら、どこか興味なさそうな顔をした。

「今度、レオンを誘ってみるか。」

ぼそりと呟くその声には、妙に兄気取りの響きがあった。

「すっかり兄風を吹かせてるのね。」私は笑ってしまう。

「どうする?あの子たちの方が、先に子供ができたら。」

わざとからかうように言うと、セドリックは眉をひそめて小さく首を振った。

「それはさすがにないだろう。」

その自信に、私はニヤニヤが止まらなかった。

「まさか……焦ってる?」

「レオンは、夜に強いそうよ。」

「……それは負けていられないな。」

セドリックは真面目な顔でそう言って、私の腰に手を回してきた。

そして小さく囁く。

「今夜、勝負しようか。」

私の頬が熱くなるのを、彼は嬉しそうに見ていた。
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