突然、課長と秘密の関係になりました
 じゃあ、と言いたいだけ言って、さっさと行こうとする彰宏を、
「あのっ」
と一彩は呼び止めた。

「すみません。
 この間、スーパーで言ってた『それに、そもそも、その肉は――』は、どういう意味だったんですか?」

 彰宏は少し考え、
「……なんだったかな。
 いや、思い出せないな。

 それも忘れてくれ」
と言う。

 ほんとうだろうか?
と一彩は去っていく彰宏の背を疑わしく見つめる。

 その時、スマホに母からのメッセージが入った。

『金曜の夜で大丈夫?』

 ちょっと迷ってから、
『オッケー』
と送信する。

 


< 19 / 295 >

この作品をシェア

pagetop