放課後、先生との秘密
文化祭 2
文化祭
ついに幕が上がった。
舞台にスポットライトを照らされて4人が輝いて見える。かっこいい…
いつもは1ミリも感じない貫禄がそこにはあった。
4人が顔を見合ってこーすけに合図を出す。
こーすけ「え〜皆さん今日はお集まり頂きありがとうございます!!こんなに集まると思わなかったですありがとう!!
じゃ僕から順に挨拶行きますね?」
「今年は一味違うんで…衝撃に備えろ」
周りの生徒たちは「ついに始まった!!!」「文化祭のこーすけってほんとかっこよく見える!!」「まじで清川先生かっこいい」と騒ぎ始めた。
文化祭の時以外はかっこよくないと思われてるこーすけに思わず笑ってしまった。
こーすけに何笑ってんだよみたいな顔されてる
こーすけ「マイクチェック、マイクチェック。あ!あ!オギャー!オギャー!こーすけで〜す」
一部のこーすけファンが「可愛い!!!」と叫び出した。
ヒラ「ヒラヒラヒラーン。おっす!おらヒラっ!」
野太過ぎだろどこからそんな声出てんだよ。
ナチが隣で手を叩きながら爆笑してるし
ヒラが今までに見た事ないくらいやり切った顔してるちょっとおもろい
フジ「あー、全員死なねえかなあ....あ、どうも、フジです。」
ナナ 「いやぁぁぁぁ死にます!!!はーかっこいい!!」
あーきもいオタクが隣に居たん忘れてた。
鼓膜破れるかってくらい隣で叫ばれて、フジはそれを見てツボって椅子から落ちた
フジ 「す、すいませんうちの友達が面白くて」
ナナ 「ね、うちの友達がって言われちゃったよおお!!去年までファンとしてここにいたのに!!!」
ナナが挨拶だけで泣き出してしまった
どんだけ好きなんだよ
フジ 「んふふかわいい」
マイクを通さずナナ一直線にそう言う。
ナナは一瞬で石化した。
いや、むしろ魂が抜けて天に召されたみたいな顔してる。
ナナ「……え、いま……私に……?“かわいい”……って……?」
隣で震えだすナナを必死で落ち着かせてるのに、ステージのフジはこっちを見てニヤッとしてやがる。
絶対わざとだろあの男。
ヒラに叩かれてるし
先生の挨拶で最後だ…
ナナの話を聞いてるうちではみんな去年の挨拶と全く違うから、そのせいでなんか緊張してしきた!
キヨ「うぃーすうすうぃす、この動画で君に出会えた奇跡に、感謝👊」
はぁ…っとため息をつきながら言った
徐々に先生の顔と耳が赤く染っていく
ついには手で顔を覆ってしまった。
先生 「も、もう、むり恥ずかしいっ!」
先生の独り言がマイクに乗ってしまって
先生 「ああっ最悪……//」
さっきまで周りの生徒たちも「キャーー!!」という黄色い悲鳴が所々であがっていたけど、
普段は見せない恥ずかしがり屋の部分を晒してしまったせいで意気消沈してる人がちらほら
葵 「か、かわいい……」
ナチ 「心の声ダダ漏れだぞ」
こーすけ 「この挨拶ね俺たちが考えたんだけど、キヨの大ウケじゃん」
フジ 「なんかアイドルみたいでいいなぁ」
ヒラ 「ほんとにね、ずるいよね」
キヨ 「もう殺してくれ」
こーすけ「ちなみにこれ動画撮ってるから終わったらDVDにして買ってもらうんだよ、キヨ」
「ええ!!そうなの?」「まじ?」「やばい先生の照れてるところ巻き戻してずっとみるわ!」「こーすけ!!!」とか、ヤジが飛ぶ
うんあたし買うわ。
問答無用で。
てか、そのヤジの中で「こーすけ!!」が1番意味わからん
キヨ 「あぁもう!忘れてたのによ〜!!!まじで最悪!!お前ら絶対に買うな!!!」
ヒラ 「でも可愛かったじゃん」
フジ 「キヨの新しい一面皆に見せれてよかったね〜」
こーすけ 「てなわけで!今年もゲーム実況しイクぅんだよなということで最後までよろしく!」
キヨ 「えーと私は帰りますんで〜」
フジ 「帰らせません」
立とうとした先生をフジが椅子にギュッと抑えた
こーすけ 「じゃあキヨが今から実況中に1歩でも立ったらDVD特典にキヨの甘いボイス集をつけたいと思います!!」
「いやぁぁぁぁ!!」「聞きたい!」「安眠効果ありそう!!」「こーすけ!!!」「こーすけの語録もっと聞きたい!!」と生徒が叫んでいる
いやまだ悲鳴が聞こえるのはわかるよ?
そのこーすけ!!!はマジでなんなん?笑
キヨ 「その「いやぁぁぁぁ」は嫌なんか嬉しいんかどっちだよ」
「絶対立ちませんけどね」
こーすけ 「あははどっかに俺の熱狂的なファンがいるな」
と手を叩いて笑いながら言った。
満更でも無さそうなのがムカつくわ
ナチ 「あいつ男にはモテるけどさ」
葵 「シスコンで、ロリコンだから女は寄ってこねぇもん」
アリサ 「こーすけ可哀想」
ナナ 「そろそろ彼女作った方がいいんじゃね?」
こーすけがマイクを外して「お前らうるせーよ」とあたしらに直接言ってきた。
ヒラ 「ちょっとしか時間ないから早く進めようよ」
キヨ「そだな、こーすけ、行け!!」
フジ 「んふふなんか強そうなポケモン」
こーすけ 「はいはい時間ないからもうツッコまないよ」
「えー僕たちの枠がですね、なんと今年は30分も貰えたということで、2つのゲームを15分置きにやりたいと思います!!」
キヨ フジ 「いえーい」
ちなみにさっきからずっと先生と目が合うのは気のせいかな?
ヒラ「じゃあ今からタイマー測りますね〜僕たちなら何時間でもやっちゃいそうだから」
キヨ 「もう後夜祭始まるまでやろうぜ次のやつとか知らねぇし」
フジ「次俺なのよ」
フジ 「あのね先生のお前がそんなこと言っちゃたらだめ」
キヨ 「じゃあ敬語使えって」
フジ 「それはちがうじゃん」
ヒラ 「キヨってさ先生ぽくないよね」
こーすけ「隙あれば雑談してんだからもう始めますよー」
こーすけがマウスをクリックした途端
ステージが一瞬暗転したかと思うと、後ろのスクリーンに「薔薇門高校にバレンタインの季節がやってきた…学園ハンサム𝒄𝒉𝒐𝒄𝒐𝒍𝒂𝒕𝒆」と映し出された
生徒たちはそれを見て「え……?」「学園ハンサムじゃん!?」「まさかのサブストーリー!?」
「これ顎がすごいやつ……?」「まだバレンタインの季節じゃねぇよ」
「こ、これ学校でやっていいやつなのか?」と飛び交う
ナチ 「センスえげつねぇ」
葵 「まってヒラ爆笑爆笑」
このこの前先生が家に来た時、ヒラが言っていた通り頑張って顎を伸ばしていた
ヒラ 「俺は美剣咲夜だ」
キヨ 「ラーヒーそんな頑張らなくていいよ」
先生がヒラの背中を撫でてあげている
ヒラがやるって言って始めたことなのに、慰められてんのおもろすぎるだろ。
それに対して「ヒラくん可愛い!!」「守ってあげたい!!」などとヤジが飛んでいる
キヨ 「俺にも可愛いって言えよ!」
しーんと静まり返った
キヨ「なんだお前ら!!成績下げっからな!!」
ヒラ 「職権乱用じゃん」
こーすけ「てなわけで!!今回前半に実況するゲームは〜〜〜学園ハンサムバレンタイン編でーーす!!!」
体育館全体が揺れるほどの拍手と歓声。
拍手の音が壁に反響して、もうライブ会場さながら。
ステージの4人は
拍手に押されて、ちょっと笑ってる。
こーすけ 「すげぇこのゲームにして良かったぁ」
フジ
「俺らアイドルみたいだね」
キヨ
「まぁ俺目当てだろ?」
生徒たちは「黙れ!!!」「違う!!!」
「調子のんな!!!」と飛び交う
キヨ 「俺じゃなかったら誹謗中傷で訴えられてるぞお前ら」
客席から
ワァァァハハハ!!
と笑い声が起きる。
体育館の空気が一気にゆるんで、完全に“最俺の空間”。
ナチ
「先生いじられてる時が一番面白い」
アリサ
「キヨっちだから許されるんよ。てか愛されてるよね地味に」
キヨ
「地味って言うな!さっきからお前らの声こっちにきこえてんだからな!!」
こーすけ
「さっ、キヨへのいじりはここまでにして……!」
「ゲーム始めますよーー!!」
ヒラ 「ちなみにあと7分しかない」
こーすけ 「すいませんあと7分しか出来ないということで、途中で終わるかもしれませんが、最後までご覧下さい!!」
オープニングの曲が流れる
キヨ 「まぁこれフルボイスで俺たち面白くできねぇから期待すんなよ」
フジ 「けど、主人公は喋んないから」
こーすけ
「じゃ、スタートします!!!」
ついにゲームが始まった。
主人公の名前は「兵器 俺達」になった。
最初の選択では誰にチョコレートを渡すか
▶︎ 美剣咲夜
西園寺輝彦
早乙女拓也
鏡蓮児
志賀慎吾
キヨ
「あっ、俺の早乙女拓也……!」
お、俺の……
その言葉に思わずドキッとした。
懐かしい記憶だ…
ヒラ「ほんと好きだね〜」
キヨ 「この拓也はかっけぇんだよまじで!!」
こーすけ 「で、今回は誰にする?」
フジ 「皆誰がいい?」
生徒たちが一気に盛り上がる。
「拓也いけよ!!」
「美剣先輩でしょ!!」
「シガリータシンゴリファー!!!」
「いや美剣!!!!」
「ケイたまぁぁ!!」
「こーすけ〜〜!!」
キヨ
「こーすけはおらん!」
「あとケイたま去年やったときメモ!!」
「俺だってケイたまが良い!!」
こーすけ
「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼需要ねぇだろ俺」
生徒達が
「きたぁぁぁ!!𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼!!」
「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼」
「コースケの語録聞けた!!」
「先生ケイたま大好きじゃん」
と騒ぎ始めた
それを聞いたフジ、ヒラ、先生もこーすけの語録を連呼し始めた。
こーすけ 「俺人気者すぎない?」
キヨ 「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴⤴︎𝑁𝐼かっこいい」
フジ
「ま、たぶん今日だけはイケメンにみえるんじゃない?文化祭バフかかってるから」
こーすけ 「今日だけはってやめろ」
フジ
「で、誰いく? 正直美剣先輩しょ?」
「美剣先輩選ばないとヒラが頑張った甲斐が無くなるしね」
ヒラ 「ほんとだよぉ」
生徒
「先輩!!!」
「やっと来る!!!」
「早く!!!」
「こーすけでいいって!」
キヨ
「はいはい、選びますよー
美剣咲夜、いきます。」
選択肢を押した瞬間
画面がふっと暗転し──
優
『お兄ちゃん、次郎ちゃんから聞いたよ。気になる彼の好きなチョコを特命リサーチしたんでしょ?』
生徒
「あああ優ちゃん!!!」
「推し妹!!!」
「かわいすぎ!!」
キヨ
「うわぁ優の言葉使い可愛くないけど俺の妹になってくれねぇかな」
ヒラ
「ちょっときもいって」
フジ
「優ちゃんの声聞いた瞬間にデレるのやめろ」
……な、なにそれ!!!
“俺の妹になってくれ”って……
なんかずるい
葵 「はぁ…」
隣のナチがすぐ気づく。
ナチ
「いま、嫉妬した?」
葵
「してねぇわ!!」
ナチ
「してるやん」
アリサ
「可愛いじゃーん」
葵
「ちがうって!」
ナナ 「顔赤いけどな〜」
ふと先生の方を見ると手を振られた。
しかもニコッと笑って
ええぇなんでぇぇ!!かっこよすぎるよぉ!!
一応返しとこ。
思わずニヤけた。
時が止まったようにお互い見つめ合って。
いやいやいや、先生はゲームに集中してくれよ。
でも、
あたしも目を逸らせなかった。
周りの声なんて何も聞こえない。
文化祭のざわつきすら消えて——
本当に二人だけの空間みたいで。
魂が、全部持っていかれそう。
そんな中でも、ゲームは進んでいく。
優
「じゃあ早速材料を調達しなきゃ!優が手伝ってあげる!」
ゲームの進行状況は、優に言われるがまま主人公がドバイへ飛び立ち、原住民にジェスチャーでカカオを取らせ日本に帰国してきていた。
優 「お兄ちゃんお帰り。その顔を見ると、成果があったみたいだね!おいしいチョコ作り、頑張ってね!」
こーすけ 「おいおい主人公一人でドバイ行かせんなよ」
フジが微動だにしない先生を揺さぶった
あたしもそこで我に帰る。
なんだったんだ…まだ胸の高鳴りが収まらない。
フジ 「ね、キヨ何してんの?さっきから上の空だよ」
ヒラ 「女でも見にきてんの?」
キヨ 「ぬぁ?!なに?あ、ああ……いや…女?いねぇよ」
フジ「あひゃひゃひゃぬぁってなんだよ」
ヒラ
「完全に挙動おかしい……」
こーすけ 「もう後ちょっとしか時間ないんだから集中しろ」
キヨ
「……いや、ちょ、違げぇんだよ
目の前のメイドが可愛すぎて意識飛んでた……」
葵「は……?」
「「えっっ!?!?」」
客席の生徒たちから一斉にざわめきが起きた。
「メイド!?」「誰!?」「目の前!?」「え、あの朝のメイドじゃね?」
「もしかして……あおちゃん!?」「前の列の子?」「ずるいー!!」
──一瞬でざわつく客席。
“目の前のメイドの可愛すぎて”
何よそれ……
顔が一気に真っ赤になり、慌てて両手で顔を覆った。
耳まで真っ赤。
胸の奥がドクンッて跳ねて、恥ずかしいのに、嬉しさが止まらない。
なんでこんなとこでそんなこと言うの……!!
ナチ
「いやなんでやねん!!!」
「うちもメイドなのに!!!おかしい」
アリサ 「みんなが見てる場所でイチャイチャすんなよ」
葵「……そんなんじゃ//」
ナナがナチを指さして笑った。
こーすけ
「まぁ……気持ちは分からんでもない。
けど、俺の家族な?!それ!!うちのあおちゃん!!」
生徒
「やっぱりあおちゃんなんだ!!」
「いいなぁ先生に可愛いって言ってもらえて」
おい!名前を言うな!!
余計視線が集まるだろが!!!
あぁ心が痛い。
また何人か敵に回した気がする。
キヨ
「ち、違ぇよ!?深い意味はねぇよ!?!?
……あれだよ……可愛いじゃん…足あ、いや…ほら衣装が……!」
言い訳すればするほど自滅してるし。
帰りたい。
隣のナチがそれ聞いて余計愚痴が止まらない。
フジ
「ていうかさ、あと2分で学園ハンサム終わらせないといけないっぽい」
ヒラ
「大丈夫??」
こーすけ
「はい!急いで行きまーす!!!」
スクリーンが再び動き出し、
美剣咲夜の立ち絵が煌めきながらドンッと表示される。
生徒
「うわあああ咲夜先輩!!」
「かっこよ!!」
「早く付き合って!!!」
──だけどあたしの胸のドキドキは、まだ全然収まらない。
先生はもうゲーム画面を向いてる。
だけど、さっきの“可愛い”の一言がずっと頭に残ってて……
耳が熱いままだった。
\──ピピピピッ!! ピピピピッ!!/
無情に鳴り響く 終了タイマー。
会場
「えぇぇぇぇ終わり!?」
「ドバイから進んでないのに!!」
「次はなにすんの」
こーすけ
「あーーー、タイマー鳴ったわ
前半の“学園ハンサム実況”ここまででーす!!」
フジ
「今のところ、ドバイ行って帰ってきただけなんだよな」
ヒラ
「付き合うまで行かなかったねぇ」
キヨ
「まだだ……まだ終わってねぇ……
俺は美剣先輩と付き合うまで死ねねぇ……!」
「続行すんぞ!!!!!!」
客席
「うおおおおおお!!!」
まさかの続行で、ステージの熱気が一気に跳ね上がった。
体育館の空気が震えるくらいの歓声に、
こーすけもフジもヒラも苦笑しながらもノリノリだ。
キヨ
「これ終わったらマリカとか、ホラーゲームしてやろうと思ってたけどそんなの知らねぇ!!」
こーすけ
「じゃあ最速で行きます!!」
こーすけ
「残り時間あと……13分!この時間に美剣先輩と付き合えんのか」
キヨ
「付き合う!!!絶対付き合う!!!
なんなら俺が無理やり付き合わせるから、無理とか言わせねぇ!!!!」
こーすけ
「こいつやばいわ」
ヒラ
「ちょっと怖いよ?」
フジ 「脅迫なんよそれ」
キヨ
「うるせぇとりあえず連打してイベントも全部ぶっ飛ばすぞ!!もう“付き合うまでの過程”とかどうでもいい!!結果だけ寄こせ!!!!!」
こーすけ
「恋愛ゲームで一番言っちゃダメなこと言ったな」
ヒラ
「美剣先輩、雑に愛されてかわいそう」
画面がありえないくらい高速で進む。
実況ってなんなんだ。
客席
「早い!!早い!!」
「読む気ねぇ!!!」
「セリフ全部すっ飛ばされた!!!」
「いまどうなってんの?」
キヨ
「これでいい! もう背景で雰囲気でわかるから!!」
ヒラ
「んふふこの人酷い」
フジ
「皆大丈夫だよ、俺たちもよくわかってないからね」
こーすけ
「置いてけぼりの実況やばい」
画面を見ている限りではチョコに「ナッツ」を入れるか「髪の毛」を入れるかで「髪の毛」を入れ、ついにバレンタイン当日になったらしい。
色んな主人公にチョコを渡すかの選択肢がで
先生は早乙女拓也に渡しそうになったが……いや渡したいと言ってた。
だけど、渡すわけねぇと選択しついに美剣先輩にたどり着いた。
美剣咲夜に
▶︎チョコを渡す
渡さない
キヨ 「渡すに決まってんだろぁ!!」
こーすけ 「勢いがすっごいよキヨ」
美剣咲夜
「そうえばさーこの前テレビの可愛いハムスター特集見たー?」
キヨ 「全然受け取ってくんない」
「いや見てない見てないなぁ」
先生が失笑しながらそう言った。
気づくと周りはもうヤジも飛ばさず真剣に見ている。
美剣咲夜
「あのジャンがリーハムスターがさー超イケイケって感じでさーマジでさー」
キヨ 「さー多いなぁぁ!!」
フジ「キヨもたまにこんな喋り方すんじゃん」
キヨ 「俺は絶対方言」
こーすけ
「てか、キヨって美剣先輩になんか似てんだよな勢いで話すところ」
キヨ
「やめろ!!!俺こんなんじゃねぇ!!」
主人公
「あっやば…先輩がハムスターの話に夢中になってる……」
こーすけ 「主人公戸惑ってんじゃん」
ヒラ 「チョコ渡した後に、こんなハムスターの話する人んふふ無理」
フジ 「んふふラーヒー怖い」
美剣咲夜
「でさーハムスターの餌はさーやっぱりキャベツっていうかさー」
「それで生ハムがさー」
キヨ
「あはっはっはっハムスターじゃねぇよもう」
こーすけ
「ハムは合ってるけど生ハムになってる」
フジ
「早く渡させてくれ」
主人公
「どのタイミングで渡せばいい……?」
キヨ 「今!今!今すぐ渡せぇぇ!」
こーすけ
「声がでけぇ」
主人公
「意味もなく屋上に来てしまった」
キヨ 「なにしてんだよ時間ねぇよ」
ヒラ 「たまにこうやって急かしてくるバイトの店長いるよね」
こーすけ
「忙しい時とかねあるね」
ヒラ 「そうそう」
キヨ
「頼むから進んでくれぇぇぇ!!時間、秒で消えてくんだよ!!」
フジ 「ちなみにあと8分ですよ皆さん」
キヨ
「最悪フジのバンド無くすから」
フジ 「はぁぁ?!やめてくれよ?」
主人公
「あれ…?これは……」
キヨ 「なんだよこれぇぇ」
「もう意味わかんねぇ意味わかんねぇ」
4人も見に来てる人達もみんなが爆笑してる
こーすけ 「どういうこと流石に誤魔化せないよ俺」
ヒラ 「自分のチョコ作ったてことだよね?」
フジ 「もっとほかに時間かけるとこあったしょ」
美剣咲夜
「でさー、これ俺からのプレゼントなんだけどさー」
主人公
「うわぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」
「これはチョコで作った美剣先輩……?これが僕へのプレゼント?」
キヨ 「なんでそんな冷静でいられんだよ」
「もう無理普通に怖いよ」
「好きな人がこんなんチョコ渡してきたら俺帰るわ」
こーすけ 「事件だろこれ」
フジ 「いやでもクオリティ高ぇな」
ヒラ
「てか、どうやってここまで運んだんだろうね」
キヨ 「余計怖ぇわ」
美剣咲夜
「お前が俺のためにチョコ作り頑張ってるって風の噂で聞いてサ…こりゃ俺も負けてらんねぇなってなって事で、作ってみたってわけ…」
キヨ
「負けてらんねぇわで作る規模じゃねぇんだよ」
こーすけ
「その努力もっと違うとこに使えただろ」
キヨ
「テレビとか企画で作る規模なんだよ」
「でもありがてぇな」
フジ 「いいセンスしてんじゃん」
キヨ 「どこがだよ」
ヒラ 「全然欲しくないよ」
美剣咲夜
「どうだ?受け取ってくれるか?」
キヨ
「シンプルに受け取りずれぇよ」
こーすけ
「せめて小分けに作ってくれよ」
ヒラ
「ピースみたいにってこと?」
フジ
「それはそれで気持ち悪ね」
主人公
「はい、喜んで!……僕のチョコもあげますこんなちっさいやつですけど……」
キヨ
「あのチョコのせいで俺のがクオリティ下がってんだよ」
こーすけ
「髪の毛だらけだけどな」
ヒラ 「ほんと気持ち悪い」
美剣咲夜
「oh…俺には分かるぜ、お前がこのチョコに込めた想いはそこらのチョコとは比べ物にならない密度だってな」
「喜んで受け取らせてもらうぜ!今日はチョコレートパーティーや!」
キヨ
「いいねぇ」
「ハッピーエンドじゃん」
ヒラ
「あんなに文句いってたのに」
こーすけ
「でもこれで、キヨ……ついに美剣先輩と……」
客席
「付き合ったぁぁぁ!!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
「時間内に間に合った!!」
キヨ
「おいおいまだ終わってねぇよ」
主人公
「そうして僕達はお互いのチョコを味わい合った…お互いにプレゼントを渡し合う…それってとても暖かいことなんだネ。バレンタイン最高ッ!!!!!」
そうして僕達は結婚した。
END☆
そこでタイマーがなり響いた。
タイミングも全部完璧すぎる。
やっぱ先生ってなんか持ってんなぁ
キヨ
「よっしゃあああああああ!!!!!」
こーすけ
「すげぇぇぇぇ!!!!!」
フジ
「ギリギリ間に合ったぁぁぁぁぁ!!!!」
ヒラ
「ほんとよく巻き返したね」
こーすけ
「一番意味わからんのは、これを許可した大人な」
キヨ 「俺いるから何でもしていいって言われたぞ校長に」
こーすけ
「どうなってんだよこの学校も」
キヨ
「……いやでも美剣先輩と結婚ってすごいな俺……」
先生が小声でそう言った。
フジ
「そこ誇りに思わなくていいから」
こーすけ
「はい!てなわけでこれでもう本当に最後の最俺ゲーム実況でした!!みんな楽しんでくれてありがと!3年間いい思い出作れました!キヨも協力してくれてほんとにありがと!!!」
「文化祭で皆とこうして盛り上がれて本当に幸せでした!」
キヨ
「お前いいこと言うなぁ俺泣いちまうぞ」
体育館は拍手と歓声で揺れる。
生徒たちは総立ち。あちこちで「最高!」「もっとやれ!」「泣いてるとこみたい!!」と叫んでいる。
キヨ
「まぁ来年もやって欲しかったらこいつらかき集めて出させるけどな」
こーすけ
「いや俺らも予定もあるからな!」
ヒラ
「いやでも、3年間楽しかったなぁ」
フジ
「いい思い出だねぇ」
キヨ
「お前ら、今日のこともこの3年間俺達がここで実況してたこと一生忘れんな!!
美剣先輩と駆け抜けた青春頭に焼き付けとけよ!!」
フジ
「いやゲームしてただけだから」
ヒラ
「でも、楽しかったから良し!」
こーすけ
「じゃあ最後、せーので締めるか!」
キヨ 「せーの!」
最俺4人
「「「「ありがとうございましたーー!!!」」」」
会場
「うおおおおおおおお!!!!!」
──その瞬間、体育館の天井が揺れるほどの大歓声。
ステージの4人は笑って手を振り、幕が下りていく。
先生はあたしに向けてニコニコして、手を振ってる。
もう!!!!
なんでそんな綺麗な笑顔なの?!!
ナチ
「葵〜顔緩んでるぞー?」
葵
「知らねぇよ」
アリサ
「完全に女の顔だったよ」
ナナ
「葵の様子動画撮っておけばよかった」
葵
「撮るな!!」
ナチ
「ずっとニヤニヤしてたもんな」
葵
「最悪まじで」
でも、
胸の奥がずっとぽかぽかしていた。
──文化祭のステージの上で、
あんなに楽しそうに、嬉しそうに笑ってる先生がすごく愛おしく感じた。
そして次はフジのバンド演奏。
去年卒業した元バンドメンバーがフジのために集まったとか言ってたっけ。
ナナ
「やばい心の準備がぁぁ!!」
ナチ
「あ、そっか、次フジか」
葵 「オタクのナナ見れるんだな」
ナナ
「絶対見んな!!恥ずかしい!!」
アリサ
「さっきもずっとフジの事見てたしねぇ〜」
ナナ
「そりゃ見るでしょ!!かっこよすぎだもん!!」
──ステージの照明が暗転し、歓声が沸き上がる。
アナウンス
「続いてのステージは、『ワクワクバンド』!!」
ナナ
「うわああああああああ!!!フジくん……バンドのフジくんだぁぁ!!!」
湯毛先輩
「フジとせらみかるが今年で卒業やからまたワクバンとして帰ってきました!!!ただいまぁぁ!!!」
フジ
「ほんとにありがとう!!」
湯気先輩
「皆楽しんで帰ってな!!」
ナナ手を震わせながらスマホを構える
1曲目が始まった。
ふと隣を見ると先生がいたその隣にはヒラとこーすけ。
先生
「間に合ったぁぁー!よっ葵〜」
葵
「せ、先生っ!?」
先生
「ずっと俺の事見てたな?」
葵
「み、みてねぇし見てたの先生じゃん」
先生
「見られたから見ただけです〜可愛いなぁ」
葵
「か、可愛い……」
先生
「あはっ照れてんじゃん〜」
こーすけ
「おいフジがやってんのに堂々とイチャイチャすんな」
ヒラ
「ほんとそうだよ〜」
先生
「まぁそうだけどナナが邪魔すぎて見えねぇわ」
ナナが本当に最前列でひたすらフジの写真を撮っている。
何だこの乙女は。
それにフジも応えてファンサしてる。
フジ「ナナちゃんっ!」
ふっと優しく笑い、わざとカメラに写る角度を取って、ナナに向けファンサする。
もうアイドルさながら。
ナナ
「…………フジくんッっっ!!!!」
「む、むり……死……かっこいい!!!!」
ナチ
「すごいな…」
葵
「言葉が出ない」
アリサ
「フジも平然とやってんのすげぇ」
こーすけ
「これで付き合ってないってなんなんだよ」
ヒラ
「いいなぁ俺もこんなキラキラしたいなぁ」
先生
「さっき十分してただろ」
ヒラ
「恥ずかしかったよ!!」
ステージの雰囲気は一気に温まり、
観客もメンバーもめちゃくちゃ楽しそうに盛り上がっていた。
ナナは胸を押さえながら、
それでも必死にカメラを向け続けている。
10分の持ち時間で3曲披露し出し物は終わった。
それからは、先生も加わり8人で出店を回った。
その時はレトくんのことをすっかり忘れて
ずっと先生の隣を歩いていた。
懐かしい距離感。
手が触れそうなくらい近くて、
歩幅まで自然と合ってしまう。
正直めっちゃドキドキした。
ナチとこーすけがチラチラこっちを見る度先生が2人に文句を言うのですら懐かしく感じる。
店を回っている中、みんながお化け屋敷に行くと言い出した。
あたしは怖いのほんと無理だから待つと言うと
先生が「俺が葵の見守りしとくから楽しんでこい」と言って1人にさせないでくれた。
ヒラは不服そうな顔してたけど。
てか見守りってなんだよ。
子どもじゃねぇんだわ!!
でも、嬉しい…2人きりだ……
まぁ他の生徒もいるけどね?
皆に連絡して、中庭のベンチがある所に移動した。
木の下であまり人目にはつかなさそうな場所。
先生
「今日まじで楽しかったなぁ」
葵
「先生と周れて嬉しかった」
先生
「俺も」
先生
「……こうして二人でゆっくりできる時間とかなんか久々だなぁ」
葵
「そうだね…」
先生
「その服まじで似合ってるお前以外可愛い子いなかったもん」
葵
「ありがとうナチに失礼だよ」
そんな些細な会話をしてふたりで笑い合った。
ベンチに深く腰掛けてぼーっとするこの時間が
すごく落ち着く。
あぁこのまま時が止まって二人の世界で生きていたい。
こんなに幸せなのに。
なのに………
ふと先生と目が合う。
もう先生以外何も考えられない。
ドキドキが止まらなくておかしくなってしまいそう。
先生
「あ、生クリームついてんぞ」
葵
「え、恥ずかし!!いつから?!どこ?」
鏡を出そうとポケットに手を突っ込むけどまったく見当たらない。
そういえばリップも塗り直してないし本当に恥ずかしい……!!
先生
「じっとして取ってあげるから」
先生の手が近ずいて来てくる。
肩を掴まれ、指先が唇に触れた。
手の温度が直で伝わる。
予想外の出来事に思わず体がビクッとなってしまった。
触れたのはほんの指先なのに、
まるでキスされたみたいに全身が熱くなるのを感じる。
先生
「どしたん?なんでそんな顔赤いん??」
葵
「えっ…いやっびっくりしただけで!」
先生
「ふーん」
先生は、手についたクリームを舐めてしまった。
全く何を考えてるかさっぱり分からない。
普通そんな事しないでしょ。
葵
「は……?なにしてんの!?汚いよ」
先生
「ティッシュ持ってなかったもん」
葵
「だからってそんな」
先生
「美味かった」
その一言が、鼓膜の奥までじんわり染みた。
と、同時に堂々と他の人にもしてそうで胸がぎゅっとなった。
葵
「……っ、きもいってまじで…」
顔から火が出そうで、俯いたまま袖で頬を隠す。
なのに先生はあたしの反応なんかお構いなしで、むしろ楽しそうに見てくる。
先生
「なんだかんだ嬉しいくせに〜可愛いな」
葵
「うざい!!」
先生
「はいはい、でも、葵だからやったんだよ」
葵
「……え?」
先生
「誰にでもこんなことしないわ」
そう言って、すぐ隣に座っているはずなのに、もっと近くに感じるくらい、低い声で囁いてくる。
あたしが不安に思ったこと感じ取ったのかな?
だとしたらもう一周まわってもうきもいよ。
あぁまじで心臓がうるさい。
息が詰まるほど、先生の目がまっすぐで。
逃げられなくて。
先生
「葵の唇すげぇ柔らかいな」
そう言って、あたしの頬にかかった髪をゆっくり耳にかけてくれた。
指先がかすかに肌をかすめるだけで、体温が跳ね上がる。
どさくさに紛れてまた唇を触ろうとしてくる。
葵
「な、なに?ここ学校だよ?」
先生
「葵不足過ぎて死にそう」
そんな事、彼女いるくせに言わないで。
あたしだって先生不足なんだよ。
どれだけ今まで自分の気持ち押し殺しきたと思ってんの…
そんなこと言ってしまったら先生は離れていってしまいそう。
葵
「それでもだめ」
先生
「じゃああと1回だけ」
葵
「いいよ」
先生
「可愛い」
先生の指が唇に触れる。
押したりなぞったりしてきて楽しんでる。
くすぐったくて、ちょっと嬉しくて本当になんか変な気持ち。
先生「はぁ……」とため息をつき、あたしの肩におでこをくっつけてきた。
先生
「くそっめっちゃちゅーしたい」
何を言い出したかと思えば爆弾発言すぎるだろ。
あたしだって先生とちゅーしたいよ。
初めては、レトくんとじゃなくて先生としたかった。
キスの心地良さも、感触も全部先生から知りたかった。
どんどん罪悪感に包まれていく。
また深い闇に心が落ちていきそう。
仮にも付き合ってる人がいるのに、こんなにドキドキして、好きだとか、触れたいとか思っていいんだろうか。
でも好きって気持ちがどんどん溢れ出して止まらないの。
忘れたフリして蓋してたのに。
もう苦しいよ……
先生
「お前はほんとどこまでも可愛いな」
葵
「バカっ……」
先生
「今日だけぎゅーしていい?どうせこんなとこ誰も来ねぇよ」
葵
「今日だけってそれやるときいつも言うじゃん」
先生
「この会話エロ過ぎだろ」
葵
「先生が言い出したんだからね?しらないよ」
先生
「ばーかこんなとこで堂々としねぇよ」
そう言って額を叩かれた。
その痛さで少し冷静さを取り戻した。
普通に流されるところだった危ねぇ。
だけど、先生は手を繋いできた。
指を絡ませて。
この手が1番好きなんだよ。
先生
「今日だけいーい?」
葵
「繋ぐ前に聞けよそれは」
先生
「あぁマジでこれが幸せってやつだわ」
「なんかさっきよりドキドキするもん」
先生はあたしの手をぎゅっと握ったまま、ゆっくり指を絡めなおした。
その動きがやけに丁寧で、あたしの存在をひとつひとつ確かめるみたいで──
胸の奥がじんって熱くなる。
と、その瞬間——
ナチ
「あ、いた!!葵!!先生!!ここ分かりにく!!」
ナチ達が戻ってきてしまった。
先生は「タイミング悪ぃなあいつら」と愚痴をこぼし手を離した。
手にはまだ、先生を求めてるような名残惜しさを残した。
こーすけ
「おい!!また2人でコソコソしてんじゃん!!!」
先生
「してねぇわ!」
「てか、ポップコーン食べに行かね?」
ナチ
「ええいいじゃん!!いこうぜ!!」
ヒラ
「また食べんの?!もう大食い選手か何かじゃん」
飲食の出店を回るのはこれで40回目
こーすけと先生がひたすら爆食してるせいでヒラとフジは呆れ返ってしまってる。
先生
「お化け屋敷どんなもんだった?俺も行きたかったな〜」
さっきまでの空気なんて一瞬で消えてしまったみたいに先生は無邪気に笑った。
わちゃわちゃまた文化祭の空気に戻っていく。
たぶん、いつも通り
“先生と生徒”に戻っただけのはずなのに。
胸の奥がじんわり締めつけられる。
先生
「葵の見守りで疲れたわ」
先生がそう言って頭をポンっと叩いてきた。
葵
「こいつうぜぇー」
ナチ
「ほんとあんたらは仲良いなぁ」
そう言われて先生を見ると、目が合ってお互い微笑んだ。
さっきの距離感が夢じゃないって、
それだけで嬉しく思えた。
あたしはもう…レトくんと別れた方が絶対に良さそうだ。
だってこれ浮気に入るよね。
先生の気持ちを抑えて、好きでもない人と付き合ってられない。
だけど、それすらもなんか怖くて言えない。
付き合ったあの過程もあるせいで、口出してしまえば、寝てる間に適当なこと言ってねじ伏せがれそう。
まぁだけど…先生…… 彼女いるもんね。
それなのに手を繋いできてさ…
先生も酷い人だ。
でも、それでもやっぱり好きなんだよ。
先生のことが。どうしようもないくらいに。
近いうちにレトくんとは、ちゃんと向き合わないとダメな気がする。
でももう今はそんなこと忘れよう。
せっかく皆と遊んでるんだもんね!
ふと先生を見上げると「あおちゃんどした?」
と頭を撫でてきた。
愛おしそうな目で微笑みながら見つめてくるから、あたしも微笑み返した。
もうなんだか嬉しくて死にそう。
あたしはまた心を持っていかれそうになる。
もうずっと、その優しい声も、その笑顔も全部あたしだけに向いてくれればいいのに。
ついに幕が上がった。
舞台にスポットライトを照らされて4人が輝いて見える。かっこいい…
いつもは1ミリも感じない貫禄がそこにはあった。
4人が顔を見合ってこーすけに合図を出す。
こーすけ「え〜皆さん今日はお集まり頂きありがとうございます!!こんなに集まると思わなかったですありがとう!!
じゃ僕から順に挨拶行きますね?」
「今年は一味違うんで…衝撃に備えろ」
周りの生徒たちは「ついに始まった!!!」「文化祭のこーすけってほんとかっこよく見える!!」「まじで清川先生かっこいい」と騒ぎ始めた。
文化祭の時以外はかっこよくないと思われてるこーすけに思わず笑ってしまった。
こーすけに何笑ってんだよみたいな顔されてる
こーすけ「マイクチェック、マイクチェック。あ!あ!オギャー!オギャー!こーすけで〜す」
一部のこーすけファンが「可愛い!!!」と叫び出した。
ヒラ「ヒラヒラヒラーン。おっす!おらヒラっ!」
野太過ぎだろどこからそんな声出てんだよ。
ナチが隣で手を叩きながら爆笑してるし
ヒラが今までに見た事ないくらいやり切った顔してるちょっとおもろい
フジ「あー、全員死なねえかなあ....あ、どうも、フジです。」
ナナ 「いやぁぁぁぁ死にます!!!はーかっこいい!!」
あーきもいオタクが隣に居たん忘れてた。
鼓膜破れるかってくらい隣で叫ばれて、フジはそれを見てツボって椅子から落ちた
フジ 「す、すいませんうちの友達が面白くて」
ナナ 「ね、うちの友達がって言われちゃったよおお!!去年までファンとしてここにいたのに!!!」
ナナが挨拶だけで泣き出してしまった
どんだけ好きなんだよ
フジ 「んふふかわいい」
マイクを通さずナナ一直線にそう言う。
ナナは一瞬で石化した。
いや、むしろ魂が抜けて天に召されたみたいな顔してる。
ナナ「……え、いま……私に……?“かわいい”……って……?」
隣で震えだすナナを必死で落ち着かせてるのに、ステージのフジはこっちを見てニヤッとしてやがる。
絶対わざとだろあの男。
ヒラに叩かれてるし
先生の挨拶で最後だ…
ナナの話を聞いてるうちではみんな去年の挨拶と全く違うから、そのせいでなんか緊張してしきた!
キヨ「うぃーすうすうぃす、この動画で君に出会えた奇跡に、感謝👊」
はぁ…っとため息をつきながら言った
徐々に先生の顔と耳が赤く染っていく
ついには手で顔を覆ってしまった。
先生 「も、もう、むり恥ずかしいっ!」
先生の独り言がマイクに乗ってしまって
先生 「ああっ最悪……//」
さっきまで周りの生徒たちも「キャーー!!」という黄色い悲鳴が所々であがっていたけど、
普段は見せない恥ずかしがり屋の部分を晒してしまったせいで意気消沈してる人がちらほら
葵 「か、かわいい……」
ナチ 「心の声ダダ漏れだぞ」
こーすけ 「この挨拶ね俺たちが考えたんだけど、キヨの大ウケじゃん」
フジ 「なんかアイドルみたいでいいなぁ」
ヒラ 「ほんとにね、ずるいよね」
キヨ 「もう殺してくれ」
こーすけ「ちなみにこれ動画撮ってるから終わったらDVDにして買ってもらうんだよ、キヨ」
「ええ!!そうなの?」「まじ?」「やばい先生の照れてるところ巻き戻してずっとみるわ!」「こーすけ!!!」とか、ヤジが飛ぶ
うんあたし買うわ。
問答無用で。
てか、そのヤジの中で「こーすけ!!」が1番意味わからん
キヨ 「あぁもう!忘れてたのによ〜!!!まじで最悪!!お前ら絶対に買うな!!!」
ヒラ 「でも可愛かったじゃん」
フジ 「キヨの新しい一面皆に見せれてよかったね〜」
こーすけ 「てなわけで!今年もゲーム実況しイクぅんだよなということで最後までよろしく!」
キヨ 「えーと私は帰りますんで〜」
フジ 「帰らせません」
立とうとした先生をフジが椅子にギュッと抑えた
こーすけ 「じゃあキヨが今から実況中に1歩でも立ったらDVD特典にキヨの甘いボイス集をつけたいと思います!!」
「いやぁぁぁぁ!!」「聞きたい!」「安眠効果ありそう!!」「こーすけ!!!」「こーすけの語録もっと聞きたい!!」と生徒が叫んでいる
いやまだ悲鳴が聞こえるのはわかるよ?
そのこーすけ!!!はマジでなんなん?笑
キヨ 「その「いやぁぁぁぁ」は嫌なんか嬉しいんかどっちだよ」
「絶対立ちませんけどね」
こーすけ 「あははどっかに俺の熱狂的なファンがいるな」
と手を叩いて笑いながら言った。
満更でも無さそうなのがムカつくわ
ナチ 「あいつ男にはモテるけどさ」
葵 「シスコンで、ロリコンだから女は寄ってこねぇもん」
アリサ 「こーすけ可哀想」
ナナ 「そろそろ彼女作った方がいいんじゃね?」
こーすけがマイクを外して「お前らうるせーよ」とあたしらに直接言ってきた。
ヒラ 「ちょっとしか時間ないから早く進めようよ」
キヨ「そだな、こーすけ、行け!!」
フジ 「んふふなんか強そうなポケモン」
こーすけ 「はいはい時間ないからもうツッコまないよ」
「えー僕たちの枠がですね、なんと今年は30分も貰えたということで、2つのゲームを15分置きにやりたいと思います!!」
キヨ フジ 「いえーい」
ちなみにさっきからずっと先生と目が合うのは気のせいかな?
ヒラ「じゃあ今からタイマー測りますね〜僕たちなら何時間でもやっちゃいそうだから」
キヨ 「もう後夜祭始まるまでやろうぜ次のやつとか知らねぇし」
フジ「次俺なのよ」
フジ 「あのね先生のお前がそんなこと言っちゃたらだめ」
キヨ 「じゃあ敬語使えって」
フジ 「それはちがうじゃん」
ヒラ 「キヨってさ先生ぽくないよね」
こーすけ「隙あれば雑談してんだからもう始めますよー」
こーすけがマウスをクリックした途端
ステージが一瞬暗転したかと思うと、後ろのスクリーンに「薔薇門高校にバレンタインの季節がやってきた…学園ハンサム𝒄𝒉𝒐𝒄𝒐𝒍𝒂𝒕𝒆」と映し出された
生徒たちはそれを見て「え……?」「学園ハンサムじゃん!?」「まさかのサブストーリー!?」
「これ顎がすごいやつ……?」「まだバレンタインの季節じゃねぇよ」
「こ、これ学校でやっていいやつなのか?」と飛び交う
ナチ 「センスえげつねぇ」
葵 「まってヒラ爆笑爆笑」
このこの前先生が家に来た時、ヒラが言っていた通り頑張って顎を伸ばしていた
ヒラ 「俺は美剣咲夜だ」
キヨ 「ラーヒーそんな頑張らなくていいよ」
先生がヒラの背中を撫でてあげている
ヒラがやるって言って始めたことなのに、慰められてんのおもろすぎるだろ。
それに対して「ヒラくん可愛い!!」「守ってあげたい!!」などとヤジが飛んでいる
キヨ 「俺にも可愛いって言えよ!」
しーんと静まり返った
キヨ「なんだお前ら!!成績下げっからな!!」
ヒラ 「職権乱用じゃん」
こーすけ「てなわけで!!今回前半に実況するゲームは〜〜〜学園ハンサムバレンタイン編でーーす!!!」
体育館全体が揺れるほどの拍手と歓声。
拍手の音が壁に反響して、もうライブ会場さながら。
ステージの4人は
拍手に押されて、ちょっと笑ってる。
こーすけ 「すげぇこのゲームにして良かったぁ」
フジ
「俺らアイドルみたいだね」
キヨ
「まぁ俺目当てだろ?」
生徒たちは「黙れ!!!」「違う!!!」
「調子のんな!!!」と飛び交う
キヨ 「俺じゃなかったら誹謗中傷で訴えられてるぞお前ら」
客席から
ワァァァハハハ!!
と笑い声が起きる。
体育館の空気が一気にゆるんで、完全に“最俺の空間”。
ナチ
「先生いじられてる時が一番面白い」
アリサ
「キヨっちだから許されるんよ。てか愛されてるよね地味に」
キヨ
「地味って言うな!さっきからお前らの声こっちにきこえてんだからな!!」
こーすけ
「さっ、キヨへのいじりはここまでにして……!」
「ゲーム始めますよーー!!」
ヒラ 「ちなみにあと7分しかない」
こーすけ 「すいませんあと7分しか出来ないということで、途中で終わるかもしれませんが、最後までご覧下さい!!」
オープニングの曲が流れる
キヨ 「まぁこれフルボイスで俺たち面白くできねぇから期待すんなよ」
フジ 「けど、主人公は喋んないから」
こーすけ
「じゃ、スタートします!!!」
ついにゲームが始まった。
主人公の名前は「兵器 俺達」になった。
最初の選択では誰にチョコレートを渡すか
▶︎ 美剣咲夜
西園寺輝彦
早乙女拓也
鏡蓮児
志賀慎吾
キヨ
「あっ、俺の早乙女拓也……!」
お、俺の……
その言葉に思わずドキッとした。
懐かしい記憶だ…
ヒラ「ほんと好きだね〜」
キヨ 「この拓也はかっけぇんだよまじで!!」
こーすけ 「で、今回は誰にする?」
フジ 「皆誰がいい?」
生徒たちが一気に盛り上がる。
「拓也いけよ!!」
「美剣先輩でしょ!!」
「シガリータシンゴリファー!!!」
「いや美剣!!!!」
「ケイたまぁぁ!!」
「こーすけ〜〜!!」
キヨ
「こーすけはおらん!」
「あとケイたま去年やったときメモ!!」
「俺だってケイたまが良い!!」
こーすけ
「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼需要ねぇだろ俺」
生徒達が
「きたぁぁぁ!!𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼!!」
「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼」
「コースケの語録聞けた!!」
「先生ケイたま大好きじゃん」
と騒ぎ始めた
それを聞いたフジ、ヒラ、先生もこーすけの語録を連呼し始めた。
こーすけ 「俺人気者すぎない?」
キヨ 「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴⤴︎𝑁𝐼かっこいい」
フジ
「ま、たぶん今日だけはイケメンにみえるんじゃない?文化祭バフかかってるから」
こーすけ 「今日だけはってやめろ」
フジ
「で、誰いく? 正直美剣先輩しょ?」
「美剣先輩選ばないとヒラが頑張った甲斐が無くなるしね」
ヒラ 「ほんとだよぉ」
生徒
「先輩!!!」
「やっと来る!!!」
「早く!!!」
「こーすけでいいって!」
キヨ
「はいはい、選びますよー
美剣咲夜、いきます。」
選択肢を押した瞬間
画面がふっと暗転し──
優
『お兄ちゃん、次郎ちゃんから聞いたよ。気になる彼の好きなチョコを特命リサーチしたんでしょ?』
生徒
「あああ優ちゃん!!!」
「推し妹!!!」
「かわいすぎ!!」
キヨ
「うわぁ優の言葉使い可愛くないけど俺の妹になってくれねぇかな」
ヒラ
「ちょっときもいって」
フジ
「優ちゃんの声聞いた瞬間にデレるのやめろ」
……な、なにそれ!!!
“俺の妹になってくれ”って……
なんかずるい
葵 「はぁ…」
隣のナチがすぐ気づく。
ナチ
「いま、嫉妬した?」
葵
「してねぇわ!!」
ナチ
「してるやん」
アリサ
「可愛いじゃーん」
葵
「ちがうって!」
ナナ 「顔赤いけどな〜」
ふと先生の方を見ると手を振られた。
しかもニコッと笑って
ええぇなんでぇぇ!!かっこよすぎるよぉ!!
一応返しとこ。
思わずニヤけた。
時が止まったようにお互い見つめ合って。
いやいやいや、先生はゲームに集中してくれよ。
でも、
あたしも目を逸らせなかった。
周りの声なんて何も聞こえない。
文化祭のざわつきすら消えて——
本当に二人だけの空間みたいで。
魂が、全部持っていかれそう。
そんな中でも、ゲームは進んでいく。
優
「じゃあ早速材料を調達しなきゃ!優が手伝ってあげる!」
ゲームの進行状況は、優に言われるがまま主人公がドバイへ飛び立ち、原住民にジェスチャーでカカオを取らせ日本に帰国してきていた。
優 「お兄ちゃんお帰り。その顔を見ると、成果があったみたいだね!おいしいチョコ作り、頑張ってね!」
こーすけ 「おいおい主人公一人でドバイ行かせんなよ」
フジが微動だにしない先生を揺さぶった
あたしもそこで我に帰る。
なんだったんだ…まだ胸の高鳴りが収まらない。
フジ 「ね、キヨ何してんの?さっきから上の空だよ」
ヒラ 「女でも見にきてんの?」
キヨ 「ぬぁ?!なに?あ、ああ……いや…女?いねぇよ」
フジ「あひゃひゃひゃぬぁってなんだよ」
ヒラ
「完全に挙動おかしい……」
こーすけ 「もう後ちょっとしか時間ないんだから集中しろ」
キヨ
「……いや、ちょ、違げぇんだよ
目の前のメイドが可愛すぎて意識飛んでた……」
葵「は……?」
「「えっっ!?!?」」
客席の生徒たちから一斉にざわめきが起きた。
「メイド!?」「誰!?」「目の前!?」「え、あの朝のメイドじゃね?」
「もしかして……あおちゃん!?」「前の列の子?」「ずるいー!!」
──一瞬でざわつく客席。
“目の前のメイドの可愛すぎて”
何よそれ……
顔が一気に真っ赤になり、慌てて両手で顔を覆った。
耳まで真っ赤。
胸の奥がドクンッて跳ねて、恥ずかしいのに、嬉しさが止まらない。
なんでこんなとこでそんなこと言うの……!!
ナチ
「いやなんでやねん!!!」
「うちもメイドなのに!!!おかしい」
アリサ 「みんなが見てる場所でイチャイチャすんなよ」
葵「……そんなんじゃ//」
ナナがナチを指さして笑った。
こーすけ
「まぁ……気持ちは分からんでもない。
けど、俺の家族な?!それ!!うちのあおちゃん!!」
生徒
「やっぱりあおちゃんなんだ!!」
「いいなぁ先生に可愛いって言ってもらえて」
おい!名前を言うな!!
余計視線が集まるだろが!!!
あぁ心が痛い。
また何人か敵に回した気がする。
キヨ
「ち、違ぇよ!?深い意味はねぇよ!?!?
……あれだよ……可愛いじゃん…足あ、いや…ほら衣装が……!」
言い訳すればするほど自滅してるし。
帰りたい。
隣のナチがそれ聞いて余計愚痴が止まらない。
フジ
「ていうかさ、あと2分で学園ハンサム終わらせないといけないっぽい」
ヒラ
「大丈夫??」
こーすけ
「はい!急いで行きまーす!!!」
スクリーンが再び動き出し、
美剣咲夜の立ち絵が煌めきながらドンッと表示される。
生徒
「うわあああ咲夜先輩!!」
「かっこよ!!」
「早く付き合って!!!」
──だけどあたしの胸のドキドキは、まだ全然収まらない。
先生はもうゲーム画面を向いてる。
だけど、さっきの“可愛い”の一言がずっと頭に残ってて……
耳が熱いままだった。
\──ピピピピッ!! ピピピピッ!!/
無情に鳴り響く 終了タイマー。
会場
「えぇぇぇぇ終わり!?」
「ドバイから進んでないのに!!」
「次はなにすんの」
こーすけ
「あーーー、タイマー鳴ったわ
前半の“学園ハンサム実況”ここまででーす!!」
フジ
「今のところ、ドバイ行って帰ってきただけなんだよな」
ヒラ
「付き合うまで行かなかったねぇ」
キヨ
「まだだ……まだ終わってねぇ……
俺は美剣先輩と付き合うまで死ねねぇ……!」
「続行すんぞ!!!!!!」
客席
「うおおおおおお!!!」
まさかの続行で、ステージの熱気が一気に跳ね上がった。
体育館の空気が震えるくらいの歓声に、
こーすけもフジもヒラも苦笑しながらもノリノリだ。
キヨ
「これ終わったらマリカとか、ホラーゲームしてやろうと思ってたけどそんなの知らねぇ!!」
こーすけ
「じゃあ最速で行きます!!」
こーすけ
「残り時間あと……13分!この時間に美剣先輩と付き合えんのか」
キヨ
「付き合う!!!絶対付き合う!!!
なんなら俺が無理やり付き合わせるから、無理とか言わせねぇ!!!!」
こーすけ
「こいつやばいわ」
ヒラ
「ちょっと怖いよ?」
フジ 「脅迫なんよそれ」
キヨ
「うるせぇとりあえず連打してイベントも全部ぶっ飛ばすぞ!!もう“付き合うまでの過程”とかどうでもいい!!結果だけ寄こせ!!!!!」
こーすけ
「恋愛ゲームで一番言っちゃダメなこと言ったな」
ヒラ
「美剣先輩、雑に愛されてかわいそう」
画面がありえないくらい高速で進む。
実況ってなんなんだ。
客席
「早い!!早い!!」
「読む気ねぇ!!!」
「セリフ全部すっ飛ばされた!!!」
「いまどうなってんの?」
キヨ
「これでいい! もう背景で雰囲気でわかるから!!」
ヒラ
「んふふこの人酷い」
フジ
「皆大丈夫だよ、俺たちもよくわかってないからね」
こーすけ
「置いてけぼりの実況やばい」
画面を見ている限りではチョコに「ナッツ」を入れるか「髪の毛」を入れるかで「髪の毛」を入れ、ついにバレンタイン当日になったらしい。
色んな主人公にチョコを渡すかの選択肢がで
先生は早乙女拓也に渡しそうになったが……いや渡したいと言ってた。
だけど、渡すわけねぇと選択しついに美剣先輩にたどり着いた。
美剣咲夜に
▶︎チョコを渡す
渡さない
キヨ 「渡すに決まってんだろぁ!!」
こーすけ 「勢いがすっごいよキヨ」
美剣咲夜
「そうえばさーこの前テレビの可愛いハムスター特集見たー?」
キヨ 「全然受け取ってくんない」
「いや見てない見てないなぁ」
先生が失笑しながらそう言った。
気づくと周りはもうヤジも飛ばさず真剣に見ている。
美剣咲夜
「あのジャンがリーハムスターがさー超イケイケって感じでさーマジでさー」
キヨ 「さー多いなぁぁ!!」
フジ「キヨもたまにこんな喋り方すんじゃん」
キヨ 「俺は絶対方言」
こーすけ
「てか、キヨって美剣先輩になんか似てんだよな勢いで話すところ」
キヨ
「やめろ!!!俺こんなんじゃねぇ!!」
主人公
「あっやば…先輩がハムスターの話に夢中になってる……」
こーすけ 「主人公戸惑ってんじゃん」
ヒラ 「チョコ渡した後に、こんなハムスターの話する人んふふ無理」
フジ 「んふふラーヒー怖い」
美剣咲夜
「でさーハムスターの餌はさーやっぱりキャベツっていうかさー」
「それで生ハムがさー」
キヨ
「あはっはっはっハムスターじゃねぇよもう」
こーすけ
「ハムは合ってるけど生ハムになってる」
フジ
「早く渡させてくれ」
主人公
「どのタイミングで渡せばいい……?」
キヨ 「今!今!今すぐ渡せぇぇ!」
こーすけ
「声がでけぇ」
主人公
「意味もなく屋上に来てしまった」
キヨ 「なにしてんだよ時間ねぇよ」
ヒラ 「たまにこうやって急かしてくるバイトの店長いるよね」
こーすけ
「忙しい時とかねあるね」
ヒラ 「そうそう」
キヨ
「頼むから進んでくれぇぇぇ!!時間、秒で消えてくんだよ!!」
フジ 「ちなみにあと8分ですよ皆さん」
キヨ
「最悪フジのバンド無くすから」
フジ 「はぁぁ?!やめてくれよ?」
主人公
「あれ…?これは……」
キヨ 「なんだよこれぇぇ」
「もう意味わかんねぇ意味わかんねぇ」
4人も見に来てる人達もみんなが爆笑してる
こーすけ 「どういうこと流石に誤魔化せないよ俺」
ヒラ 「自分のチョコ作ったてことだよね?」
フジ 「もっとほかに時間かけるとこあったしょ」
美剣咲夜
「でさー、これ俺からのプレゼントなんだけどさー」
主人公
「うわぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」
「これはチョコで作った美剣先輩……?これが僕へのプレゼント?」
キヨ 「なんでそんな冷静でいられんだよ」
「もう無理普通に怖いよ」
「好きな人がこんなんチョコ渡してきたら俺帰るわ」
こーすけ 「事件だろこれ」
フジ 「いやでもクオリティ高ぇな」
ヒラ
「てか、どうやってここまで運んだんだろうね」
キヨ 「余計怖ぇわ」
美剣咲夜
「お前が俺のためにチョコ作り頑張ってるって風の噂で聞いてサ…こりゃ俺も負けてらんねぇなってなって事で、作ってみたってわけ…」
キヨ
「負けてらんねぇわで作る規模じゃねぇんだよ」
こーすけ
「その努力もっと違うとこに使えただろ」
キヨ
「テレビとか企画で作る規模なんだよ」
「でもありがてぇな」
フジ 「いいセンスしてんじゃん」
キヨ 「どこがだよ」
ヒラ 「全然欲しくないよ」
美剣咲夜
「どうだ?受け取ってくれるか?」
キヨ
「シンプルに受け取りずれぇよ」
こーすけ
「せめて小分けに作ってくれよ」
ヒラ
「ピースみたいにってこと?」
フジ
「それはそれで気持ち悪ね」
主人公
「はい、喜んで!……僕のチョコもあげますこんなちっさいやつですけど……」
キヨ
「あのチョコのせいで俺のがクオリティ下がってんだよ」
こーすけ
「髪の毛だらけだけどな」
ヒラ 「ほんと気持ち悪い」
美剣咲夜
「oh…俺には分かるぜ、お前がこのチョコに込めた想いはそこらのチョコとは比べ物にならない密度だってな」
「喜んで受け取らせてもらうぜ!今日はチョコレートパーティーや!」
キヨ
「いいねぇ」
「ハッピーエンドじゃん」
ヒラ
「あんなに文句いってたのに」
こーすけ
「でもこれで、キヨ……ついに美剣先輩と……」
客席
「付き合ったぁぁぁ!!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
「時間内に間に合った!!」
キヨ
「おいおいまだ終わってねぇよ」
主人公
「そうして僕達はお互いのチョコを味わい合った…お互いにプレゼントを渡し合う…それってとても暖かいことなんだネ。バレンタイン最高ッ!!!!!」
そうして僕達は結婚した。
END☆
そこでタイマーがなり響いた。
タイミングも全部完璧すぎる。
やっぱ先生ってなんか持ってんなぁ
キヨ
「よっしゃあああああああ!!!!!」
こーすけ
「すげぇぇぇぇ!!!!!」
フジ
「ギリギリ間に合ったぁぁぁぁぁ!!!!」
ヒラ
「ほんとよく巻き返したね」
こーすけ
「一番意味わからんのは、これを許可した大人な」
キヨ 「俺いるから何でもしていいって言われたぞ校長に」
こーすけ
「どうなってんだよこの学校も」
キヨ
「……いやでも美剣先輩と結婚ってすごいな俺……」
先生が小声でそう言った。
フジ
「そこ誇りに思わなくていいから」
こーすけ
「はい!てなわけでこれでもう本当に最後の最俺ゲーム実況でした!!みんな楽しんでくれてありがと!3年間いい思い出作れました!キヨも協力してくれてほんとにありがと!!!」
「文化祭で皆とこうして盛り上がれて本当に幸せでした!」
キヨ
「お前いいこと言うなぁ俺泣いちまうぞ」
体育館は拍手と歓声で揺れる。
生徒たちは総立ち。あちこちで「最高!」「もっとやれ!」「泣いてるとこみたい!!」と叫んでいる。
キヨ
「まぁ来年もやって欲しかったらこいつらかき集めて出させるけどな」
こーすけ
「いや俺らも予定もあるからな!」
ヒラ
「いやでも、3年間楽しかったなぁ」
フジ
「いい思い出だねぇ」
キヨ
「お前ら、今日のこともこの3年間俺達がここで実況してたこと一生忘れんな!!
美剣先輩と駆け抜けた青春頭に焼き付けとけよ!!」
フジ
「いやゲームしてただけだから」
ヒラ
「でも、楽しかったから良し!」
こーすけ
「じゃあ最後、せーので締めるか!」
キヨ 「せーの!」
最俺4人
「「「「ありがとうございましたーー!!!」」」」
会場
「うおおおおおおおお!!!!!」
──その瞬間、体育館の天井が揺れるほどの大歓声。
ステージの4人は笑って手を振り、幕が下りていく。
先生はあたしに向けてニコニコして、手を振ってる。
もう!!!!
なんでそんな綺麗な笑顔なの?!!
ナチ
「葵〜顔緩んでるぞー?」
葵
「知らねぇよ」
アリサ
「完全に女の顔だったよ」
ナナ
「葵の様子動画撮っておけばよかった」
葵
「撮るな!!」
ナチ
「ずっとニヤニヤしてたもんな」
葵
「最悪まじで」
でも、
胸の奥がずっとぽかぽかしていた。
──文化祭のステージの上で、
あんなに楽しそうに、嬉しそうに笑ってる先生がすごく愛おしく感じた。
そして次はフジのバンド演奏。
去年卒業した元バンドメンバーがフジのために集まったとか言ってたっけ。
ナナ
「やばい心の準備がぁぁ!!」
ナチ
「あ、そっか、次フジか」
葵 「オタクのナナ見れるんだな」
ナナ
「絶対見んな!!恥ずかしい!!」
アリサ
「さっきもずっとフジの事見てたしねぇ〜」
ナナ
「そりゃ見るでしょ!!かっこよすぎだもん!!」
──ステージの照明が暗転し、歓声が沸き上がる。
アナウンス
「続いてのステージは、『ワクワクバンド』!!」
ナナ
「うわああああああああ!!!フジくん……バンドのフジくんだぁぁ!!!」
湯毛先輩
「フジとせらみかるが今年で卒業やからまたワクバンとして帰ってきました!!!ただいまぁぁ!!!」
フジ
「ほんとにありがとう!!」
湯気先輩
「皆楽しんで帰ってな!!」
ナナ手を震わせながらスマホを構える
1曲目が始まった。
ふと隣を見ると先生がいたその隣にはヒラとこーすけ。
先生
「間に合ったぁぁー!よっ葵〜」
葵
「せ、先生っ!?」
先生
「ずっと俺の事見てたな?」
葵
「み、みてねぇし見てたの先生じゃん」
先生
「見られたから見ただけです〜可愛いなぁ」
葵
「か、可愛い……」
先生
「あはっ照れてんじゃん〜」
こーすけ
「おいフジがやってんのに堂々とイチャイチャすんな」
ヒラ
「ほんとそうだよ〜」
先生
「まぁそうだけどナナが邪魔すぎて見えねぇわ」
ナナが本当に最前列でひたすらフジの写真を撮っている。
何だこの乙女は。
それにフジも応えてファンサしてる。
フジ「ナナちゃんっ!」
ふっと優しく笑い、わざとカメラに写る角度を取って、ナナに向けファンサする。
もうアイドルさながら。
ナナ
「…………フジくんッっっ!!!!」
「む、むり……死……かっこいい!!!!」
ナチ
「すごいな…」
葵
「言葉が出ない」
アリサ
「フジも平然とやってんのすげぇ」
こーすけ
「これで付き合ってないってなんなんだよ」
ヒラ
「いいなぁ俺もこんなキラキラしたいなぁ」
先生
「さっき十分してただろ」
ヒラ
「恥ずかしかったよ!!」
ステージの雰囲気は一気に温まり、
観客もメンバーもめちゃくちゃ楽しそうに盛り上がっていた。
ナナは胸を押さえながら、
それでも必死にカメラを向け続けている。
10分の持ち時間で3曲披露し出し物は終わった。
それからは、先生も加わり8人で出店を回った。
その時はレトくんのことをすっかり忘れて
ずっと先生の隣を歩いていた。
懐かしい距離感。
手が触れそうなくらい近くて、
歩幅まで自然と合ってしまう。
正直めっちゃドキドキした。
ナチとこーすけがチラチラこっちを見る度先生が2人に文句を言うのですら懐かしく感じる。
店を回っている中、みんながお化け屋敷に行くと言い出した。
あたしは怖いのほんと無理だから待つと言うと
先生が「俺が葵の見守りしとくから楽しんでこい」と言って1人にさせないでくれた。
ヒラは不服そうな顔してたけど。
てか見守りってなんだよ。
子どもじゃねぇんだわ!!
でも、嬉しい…2人きりだ……
まぁ他の生徒もいるけどね?
皆に連絡して、中庭のベンチがある所に移動した。
木の下であまり人目にはつかなさそうな場所。
先生
「今日まじで楽しかったなぁ」
葵
「先生と周れて嬉しかった」
先生
「俺も」
先生
「……こうして二人でゆっくりできる時間とかなんか久々だなぁ」
葵
「そうだね…」
先生
「その服まじで似合ってるお前以外可愛い子いなかったもん」
葵
「ありがとうナチに失礼だよ」
そんな些細な会話をしてふたりで笑い合った。
ベンチに深く腰掛けてぼーっとするこの時間が
すごく落ち着く。
あぁこのまま時が止まって二人の世界で生きていたい。
こんなに幸せなのに。
なのに………
ふと先生と目が合う。
もう先生以外何も考えられない。
ドキドキが止まらなくておかしくなってしまいそう。
先生
「あ、生クリームついてんぞ」
葵
「え、恥ずかし!!いつから?!どこ?」
鏡を出そうとポケットに手を突っ込むけどまったく見当たらない。
そういえばリップも塗り直してないし本当に恥ずかしい……!!
先生
「じっとして取ってあげるから」
先生の手が近ずいて来てくる。
肩を掴まれ、指先が唇に触れた。
手の温度が直で伝わる。
予想外の出来事に思わず体がビクッとなってしまった。
触れたのはほんの指先なのに、
まるでキスされたみたいに全身が熱くなるのを感じる。
先生
「どしたん?なんでそんな顔赤いん??」
葵
「えっ…いやっびっくりしただけで!」
先生
「ふーん」
先生は、手についたクリームを舐めてしまった。
全く何を考えてるかさっぱり分からない。
普通そんな事しないでしょ。
葵
「は……?なにしてんの!?汚いよ」
先生
「ティッシュ持ってなかったもん」
葵
「だからってそんな」
先生
「美味かった」
その一言が、鼓膜の奥までじんわり染みた。
と、同時に堂々と他の人にもしてそうで胸がぎゅっとなった。
葵
「……っ、きもいってまじで…」
顔から火が出そうで、俯いたまま袖で頬を隠す。
なのに先生はあたしの反応なんかお構いなしで、むしろ楽しそうに見てくる。
先生
「なんだかんだ嬉しいくせに〜可愛いな」
葵
「うざい!!」
先生
「はいはい、でも、葵だからやったんだよ」
葵
「……え?」
先生
「誰にでもこんなことしないわ」
そう言って、すぐ隣に座っているはずなのに、もっと近くに感じるくらい、低い声で囁いてくる。
あたしが不安に思ったこと感じ取ったのかな?
だとしたらもう一周まわってもうきもいよ。
あぁまじで心臓がうるさい。
息が詰まるほど、先生の目がまっすぐで。
逃げられなくて。
先生
「葵の唇すげぇ柔らかいな」
そう言って、あたしの頬にかかった髪をゆっくり耳にかけてくれた。
指先がかすかに肌をかすめるだけで、体温が跳ね上がる。
どさくさに紛れてまた唇を触ろうとしてくる。
葵
「な、なに?ここ学校だよ?」
先生
「葵不足過ぎて死にそう」
そんな事、彼女いるくせに言わないで。
あたしだって先生不足なんだよ。
どれだけ今まで自分の気持ち押し殺しきたと思ってんの…
そんなこと言ってしまったら先生は離れていってしまいそう。
葵
「それでもだめ」
先生
「じゃああと1回だけ」
葵
「いいよ」
先生
「可愛い」
先生の指が唇に触れる。
押したりなぞったりしてきて楽しんでる。
くすぐったくて、ちょっと嬉しくて本当になんか変な気持ち。
先生「はぁ……」とため息をつき、あたしの肩におでこをくっつけてきた。
先生
「くそっめっちゃちゅーしたい」
何を言い出したかと思えば爆弾発言すぎるだろ。
あたしだって先生とちゅーしたいよ。
初めては、レトくんとじゃなくて先生としたかった。
キスの心地良さも、感触も全部先生から知りたかった。
どんどん罪悪感に包まれていく。
また深い闇に心が落ちていきそう。
仮にも付き合ってる人がいるのに、こんなにドキドキして、好きだとか、触れたいとか思っていいんだろうか。
でも好きって気持ちがどんどん溢れ出して止まらないの。
忘れたフリして蓋してたのに。
もう苦しいよ……
先生
「お前はほんとどこまでも可愛いな」
葵
「バカっ……」
先生
「今日だけぎゅーしていい?どうせこんなとこ誰も来ねぇよ」
葵
「今日だけってそれやるときいつも言うじゃん」
先生
「この会話エロ過ぎだろ」
葵
「先生が言い出したんだからね?しらないよ」
先生
「ばーかこんなとこで堂々としねぇよ」
そう言って額を叩かれた。
その痛さで少し冷静さを取り戻した。
普通に流されるところだった危ねぇ。
だけど、先生は手を繋いできた。
指を絡ませて。
この手が1番好きなんだよ。
先生
「今日だけいーい?」
葵
「繋ぐ前に聞けよそれは」
先生
「あぁマジでこれが幸せってやつだわ」
「なんかさっきよりドキドキするもん」
先生はあたしの手をぎゅっと握ったまま、ゆっくり指を絡めなおした。
その動きがやけに丁寧で、あたしの存在をひとつひとつ確かめるみたいで──
胸の奥がじんって熱くなる。
と、その瞬間——
ナチ
「あ、いた!!葵!!先生!!ここ分かりにく!!」
ナチ達が戻ってきてしまった。
先生は「タイミング悪ぃなあいつら」と愚痴をこぼし手を離した。
手にはまだ、先生を求めてるような名残惜しさを残した。
こーすけ
「おい!!また2人でコソコソしてんじゃん!!!」
先生
「してねぇわ!」
「てか、ポップコーン食べに行かね?」
ナチ
「ええいいじゃん!!いこうぜ!!」
ヒラ
「また食べんの?!もう大食い選手か何かじゃん」
飲食の出店を回るのはこれで40回目
こーすけと先生がひたすら爆食してるせいでヒラとフジは呆れ返ってしまってる。
先生
「お化け屋敷どんなもんだった?俺も行きたかったな〜」
さっきまでの空気なんて一瞬で消えてしまったみたいに先生は無邪気に笑った。
わちゃわちゃまた文化祭の空気に戻っていく。
たぶん、いつも通り
“先生と生徒”に戻っただけのはずなのに。
胸の奥がじんわり締めつけられる。
先生
「葵の見守りで疲れたわ」
先生がそう言って頭をポンっと叩いてきた。
葵
「こいつうぜぇー」
ナチ
「ほんとあんたらは仲良いなぁ」
そう言われて先生を見ると、目が合ってお互い微笑んだ。
さっきの距離感が夢じゃないって、
それだけで嬉しく思えた。
あたしはもう…レトくんと別れた方が絶対に良さそうだ。
だってこれ浮気に入るよね。
先生の気持ちを抑えて、好きでもない人と付き合ってられない。
だけど、それすらもなんか怖くて言えない。
付き合ったあの過程もあるせいで、口出してしまえば、寝てる間に適当なこと言ってねじ伏せがれそう。
まぁだけど…先生…… 彼女いるもんね。
それなのに手を繋いできてさ…
先生も酷い人だ。
でも、それでもやっぱり好きなんだよ。
先生のことが。どうしようもないくらいに。
近いうちにレトくんとは、ちゃんと向き合わないとダメな気がする。
でももう今はそんなこと忘れよう。
せっかく皆と遊んでるんだもんね!
ふと先生を見上げると「あおちゃんどした?」
と頭を撫でてきた。
愛おしそうな目で微笑みながら見つめてくるから、あたしも微笑み返した。
もうなんだか嬉しくて死にそう。
あたしはまた心を持っていかれそうになる。
もうずっと、その優しい声も、その笑顔も全部あたしだけに向いてくれればいいのに。


