溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。

第2章 好奇心はあとのまつり

 第1話


 レイカルド様は、瞠目してこちらを見ている私の両頬に両手を添えた。

 「なっ、何を!」

 そのままレイカルド様色違いの双眸が迫る。

 驚愕した私は、必死に顔を背けようとした。

 だがレイカルド様は、私の小さな唇へ、強引に自分の唇を、重ね合わせてきた。

 「!」

 人生初めて触れた、見知らぬ男の唇。

 それを切に感じてしまった私は、呆気となった。

 それは、意外なほど柔らかく感じられ、私一瞬とろけそうになる。

 歯列を舐めていた舌先が、自分の歯間をくぐり抜けてくる。

 口腔の奥の奥へ尖らせてくる、どうしようもない感触。

 それを深く味わうと、とても熱い淫靡な感覚が、私の口から胸、下腹部まで走りぬけ、つま先まで駆け下りた。

 それは、いきなりなじみのない場所へ投げ込まれた違和感となってその身に沁みてくる。

 強烈な生ぬるい淫靡な感覚に身震いし、私は激しく身悶えた。 

 「……っ……!」

 だが、羽交い絞めにしているハレット様により、私うまく身動きが取れない。

 レイカルド様の舌が、口腔の柔らかな皮膚を、強引に探ってゆく。

 それを噛み切ろうと考えるすきはなく、巧みに激しく蠢く。

 それは、全身を駆け巡る官能的な大波となり、私に熱く注がれてゆく。

 それに応じて、どうしようもない疼きも突き上がる。

 様々な鮮烈な新感触に、私へ襲来してくる。

 堪えきれなくなった私は、緋色の瞳から、こぼれる雫をぽろぽろと流した。

 「……んうううっ……!」

 私が思わず嗚咽まじりの嬌声をこぼすなか、レイカルド様は溢れてきたその唾液を、自らの喉奥へ押しこんでゆく。

 そして、レイカルド様がそれを完全に飲み干した刹那。

 まばゆいほどの閃光が瞬いた。

 それは、そのまま三人を包みこんだ。
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