最強パティシエは、幼なじみに恋をする


「うわあ、月森さん、助かるー!」

「ありがとう、さすがだね!」


みんなの驚きと感謝の言葉が、美術室に響いた。


それから数日後。


私が廊下を歩いていると、家庭科室で重い業務用ミキサーを、棚から降ろそうとしている先生を見かけた。


背伸びをして、腕をいっぱいに伸ばしても届かず、苦戦している様子が見て取れた。


「あの、先生。良ければ、お手伝いしましょうか?」


私が声をかけると、先生は振り返り、困ったように眉を下げていた顔がぱっと明るくなった。


「あら、月森さん。それじゃあ、お願いしようかしら」

「はい!」


先生の言葉に、私も自然と笑顔になった。


私はさっとミキサーを持ち上げて、カウンターに降ろしてあげる。


「ありがとう、月森さん。本当に助かったわ!」

「いえいえ」


私の怪力はいつしか、困っている人をさりげなく助けるための、力になっていた。


今では誰も驚くどころか、私の「お助け力」は、いつの間にか学校中でちょっとした名物になっているようだ。


誰かの役に立てることが、今は心から嬉しい。

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