さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える
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数ヶ月後。
新しい町、新しいアパートでふたりは一緒に暮らしていた。
「家族じゃないけど、家族みたい」と笑って話す悠真に、紗夜は首を横に振る。
「ちがう。もう、家族“みたい”じゃない。私は……悠真と、ちゃんと家族になりたいって思ってるよ」
その言葉に、悠真は少し目を見開き、そして心から笑った。
「……なら、今度の誕生日、ちゃんと指輪、選びに行くか」
陽射しがカーテン越しに揺れている。
紗夜の笑顔も、それと同じように、あたたかく揺れていた。
――私はもう一度、愛を信じていいんだ。
そう教えてくれたのは、悠真だった。