さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える


 ――それから数ヶ月後。

 小さな結婚式。身近な人たちに囲まれ、紗夜は白いドレスに身を包んでいた。


「本当に……夢みたいだね」

「夢じゃないよ。これから、毎朝こうして目覚めるのが“現実”になる」


 式が終わり、新居に戻った夜。

 ベッドで並んで眠るふたりの手には、あのとき選んだ指輪が輝いていた。

 
そして迎えた朝。

「紗夜、おはよう」

「……おはよう、悠真」


 もう怖くない。
 この朝は、これから何千回も続いていく。
 きみと迎える朝が、わたしのいちばんの幸せ。


「愛してる、悠真」

「俺も、ずっと、愛してるよ、紗夜」


 朝の光の中で、ふたりの未来がやわらかく照らされていた。


            ── 完 ──





< 17 / 24 >

この作品をシェア

pagetop