探偵男子たちが強すぎる

人の気配に敏感(びんかん)になり、異様な視線──つまり敵意がある人とそうでない人の区別がはっきりとつけられる、というわけだ。

とは言っても、ものすごく広い範囲(はんい)で分かるわけではない。それ以外は普通の女子中学生なんだから。
自分の立ち位置からせいぜい前後左右十メートルくらいが限界。これから感じ取れる距離(きょり)が伸びていくのかは分からないけど、明らかに中学生になってから精度は増してる気がする。
……お父さんが毎度事務所の人たち使うから、変な感覚育っちゃったってことだよね。

悪いことではないからいいんだけど、わたしに三人もつける前に、おばあちゃんの犬探し要員増やした方がいいでしょ。

娘の編入初日が心配なのはわかるけども!


"お前がいついかなる場所で、何かあってもおかしくない。それを(つね)(きも)に命じておいて欲しい"

探偵という仕事をするお父さんは、小さい頃からわたしに言い聞かせてたし、学校でも気を抜かず過ごせって意味でとらえておこう。


……かと言ってずっとつけられるのは嫌だなぁ。うまいこと三人を()くしかない。

けど、わたしが撒こうとするのもあちらは分かっている。何年も同じこと繰り返してるんだから。

でも、これが毎回撒けるわたし。

だってほら……わたしが逃げ回る度に、見失うまいと、離されまいと、三人とも護衛から獲物を探してる雰囲気になるんだもの。
そうなればわたしに気配、感じ取られてしまうのに。逃げやすくなるから言わないけど。
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