ダストリコリズ
***



『君は、随分ひどい事をするんだね。がっかりだ。もう仕事を回す必要もない。・・・リヤは預かるから心配しないで。』
留守電に入っていたメッセージは、更に奈落へとニキを落とす。あの男からだった。

姉と暮らしていた、広いマンションには光が灯されていない。ただ留守電の小さな橙色の光だけが、ニキを照らしていた。
もうリヤは帰ってこないだろう。あの男の元にいるに違いない。

──私は、何だったのだろうか。何かを間違えたのだろうか。

涙は、最早出ない。
ニキは何も悪くないのだ。ただ、女優に向かって努力していただけの女の子。
それを取り囲む、全ての歯車が狂っただけ。

「あぁああああああああああああああああああぁっ!!!!」

獣のような叫びが、暗い部屋と夜空に響く。
全ては壊れた。





それから・・・程なくしてニキは表舞台から消えた。もうCMも流れないし、映画やドラマも、女優一人いなくなっても事が足りる。
誰もニキを思い出す人はいない。


そしてシュウは、結婚したとメディアに伝えられた。幸せだと、あの無愛想が笑う。

勿論相手は・・・。






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