プリンセスと氷上の勇気

8 最高の思い出

「アリシアさん。あなたのショーはとってもすてきでした」

 ティナのパパ――王様が、大きな声で表彰状を読み上げます。
 アリシアのショーが、なんと今年1番の出し物に選ばれたのです!

「これは記念のネックレスよ。おめでとう!」

 ティナのママ――女王様は、アリシアの首にジュエルのネックレスをかけました。1番すてきな出し物に選ばれた人だけの、特別なものなんですって!

「ありがとうございます。でも……ショーが成功したのは、私の力じゃありません」

 大きな声で言ったアリシアが、とつぜんティナの手を引っ張りました。

「ティナが勇気を見つけてくれたからです! だから――このネックレスは、ティナにつけていてほしいです!」

「え、えぇぇ!? 違うよ、アリシアががんばったんだよ!」

「ううん、ティナがもらって!」

「アリシアが!」

「ティナが!」

 ネックレスをゆずりあって、2人は1歩も引きません。
 そんな様子を見て、王様と女王様はくすっと笑いました。
 それからもう1つ、おそろいのネックレスをとりだします。

「それなら特別に、2人にあげちゃおうかな」

「2人とも、すてきなショーをありがとう!」

 女王様はティナの首にもネックレスとかけると、ぎゅっと抱きしめてくれました。
 アリシアのショーが成功したのも、すてきなネックレスも、ママに抱きしめてもらえたこともうれしくて、ティナの心があったかくなります。

「やったね、ティナ!」

「うん、おめでとうアリシア!」

 手を取り合って喜ぶティナとアリシア。
 2人のむねには、おそろいのネックレスが光ります。
 いつもの雪祭りはさびしくてたいくつな日でしたが――今年はちっともそんなことありません。

「アリシアのおかげで、とっても楽しい雪まつりだった! それに――すてきな宝物もできちゃった!」

「ふふふ、私も!」

 ネックレスも思い出も、2人の大切な宝物になりました。
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