心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「執着、独占欲、嫉妬…萌(も)えます。良い!」

「燃(も)える物なのか…」

恋愛は自由。
私に関係ないし見てる方は萌えだし‼悶(もだ)えるくらい良き!

「…執着、独占…」

ぶつぶつ声に出てますよー。
恋するイケメンの姿も国を滅ぼしかねないな。

「ところでお腹空きません…?ちょっとお待ち下さい!」
「とくにお腹は」
「遠慮はダメですよ!ちょっとお待ち下さい!」

酔った私は人の話を聞かない。
こんな尊い話を聞いて酔いも気分も上々‼

「せんこ特製の塩むすび~」

「あら、ご機嫌ね」

おにぎりを握る鼻歌の私にるる姉は「私の分も」と催促してくる。

「うん!皆んなの分も握るねー」

カウンター席とボックス用と…そして専務の分も!
個室からゆっくりと出て来た専務もカウンター席に座る。

「俺から先生へ。どうぞ」

自分の高級ウイスキーの蓋を開け氷をグラスに入れワンショット分を注ぎ私の目の前に置いた。

「ありがたき幸せ、です」

こう言いたくなるような気品と漂う色香に周りも魅了する。
おいおい…やっぱりこの人は国取りに参戦するつもり?

「美味い」

白く細い指はただの塩むすびを手に取り目を擦りたくなるような所作で食べてしまった。

偉そうな男だけど品格…所作…いや空気すら違うことに尊敬すら覚える。
最後は指をペロっと舐めて少し口角を上げるから不覚にもドキッとする。

「せんこ先生って…本当は」
「めちゃくちゃ美味し~い」

るる姉の雄たけびに遮られ彼は私とウイスキーで乾杯した。
< 11 / 55 >

この作品をシェア

pagetop