心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「あれ出した?」

最近はイケメンとイケおじの噂だけが独占してるわけじゃない。

「出したに決まってる!」
「社内公募で結婚相手決めるなんて夢だよね~」

社内公募…。
これは一ヶ月間聞いた新しい噂で嫁選びの話。
いくらイケメンとイケおじに悶えても“嫁”と言う立場に憧れるらしい。

「社員の特権よね」
「そうそう!」

王子様が会社を継ぐにはご先祖さまから続いてるアンナグランデ独特の伝統“社内で働く一般女性との婚姻”が絶対条件らしい。

「王子様に見初めれるみたいな…」
「めっちゃ憧れるよ~。ここに就職決めたのも専務を見たくてだし」

私は占いで結婚相手を社内公募で探せと言った覚えはない。
彼の意中の人との今後を占っただけ。
だいたい彼が占いに来たのもまだ2回。
2回とも占い途中から飲み会に発展していつの間にか彼は消えてる。

ーお金持ちは大変

まず、嫁になる相手を社内公募で決めると言うのがおかしい。
自薦・他薦OKとかあり得ないよね?
コンテストじゃあるまいし。

「決った人に今日通知くるらしいよ~」
「まじ?早く戻って確認しなきゃ!」

エレベーターに香水を蔓延させて彼女達は急いで出て行った。
自分が選ばれると思える前向きさは羨ましい。

世の中の人達が皆んなこんなだったら…。

「私の仕事がなくなるか…」

ため息交じり呟いて地下に続くエレベーターに乗り換えた。





「先生ありがとうございました」

「いいえ、いつでもお話聞きますからね」

とある若手社員に笑みを浮かべて部屋から送り出す。
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