絆の光は未来へ
光希の異変
あゆかの病状説明の後、光希は表面上は平静を保っているようだったが、その心は深く傷ついていた。

あゆかに腕を振り払われた衝撃と、彼女の絶望的な叫びが、彼の脳裏から離れない。頭では病気のせいだと理解していても、感情は別の反応を示していた。
あゆかが危機を脱してICUの時のものが出てきたのだ。疲労はピークに達し、彼の集中力は著しく低下していた。

そんな光希の異変は、すぐに周りにも気づかれ始める。
ある日の午後、光希は術後の患者の点滴処方を指示していた。

その指示を受けた病棟看護師が、カルテと処方箋を照合しながら、眉をひそめた。普段の光希からは考えられないような、明らかな薬剤量の間違いがあったのだ。

看護師は何度も処方箋を見直した。光希の印刷した処方箋は間違いなく規定量の三倍近い量を示していた。

これほど基本的なミスを犯すなど、普段の工藤先生には到底考えられないことだった。看護師の胸に不安がよぎる。

看護師はすぐに、その処方箋を手に蓮の元へ向かった。

「一ノ瀬先生、少しよろしいでしょうか」

看護師の声に、蓮は振り返った。
彼女の手には、光希が印刷した処方箋が握られている。
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