絆の光は未来へ
あゆかが思い出したように言う。
「光希って、どうして医者になったの?」
光希は箸を置き、少し考える表情を見せた。
「昔、母が病気で入院してた時期があってね。その時の医師が、すごく優しくて、丁寧に説明してくれる人だった。母も僕も不安でいっぱいだったけど、その先生がいてくれたから、乗り越えられた」
あゆかは、光希の言葉を静かに聞いていた。
「だから僕も、不安でいっぱいの人の支えになりたいと思ったんだ。まあ、あゆかほど明確な夢じゃなかったけど」
「そんなことない。光希の気持ち、すごく素敵だと思う」
あゆかの素直な言葉に、光希は嬉しそうに微笑んだ。
食事の後、あゆかは光希の本棚を眺めていた。医学書の間に挟まっている小説や写真集に興味を示す。
「これ、面白そう」
あゆかが指さしたのは、一冊の旅行ガイドブックだった。