絆の光は未来へ

遠い希望、そして微かな兆候

ICUの担当医は、すぐに脳神経内科と連携を取り、特殊な抗体検査を手配した。しかし、検査結果が出るまでには数日を要するという。その間にも、あゆかの容態は一進一退を繰り返していた。希望が見えたかと思えば、またすぐに暗闇に引き戻される。

検査結果が出るまでの数日間、光希は焦燥感を抱えながらも、あゆかのそばを離れなかった。わずかな変化も見逃すまいと、ひたすら彼女の顔を見つめ、手を握り続けた。

光希の精神は、限界に近いところで綱渡りをしているようだった。
「あゆか……」
光希は、あゆかの手を握り、その細い指にキスをした。指輪が鈍い光を放っている。
その時だった。あゆかの瞼が、かすかに震えた。
「あゆか……!」
光希は息を呑んだ。気のせいか?疲労と希望的観測がそう見せているのか?
しかし、もう一度、微かにだが、あゆかの瞼がピクリと動いた。そして、人工呼吸器の音に混じって、ごくわずかだが、彼女の喉から何かを絞り出すような音が聞こえた気がした。
それは、意識が戻ったわけではなかった。単なる反射かもしれない。しかし、光希には、それがまるで、あゆかが「もう少し、頑張る」と伝えているかのように感じられた。
彼の目から、再び熱いものが溢れ落ちた。絶望の淵で、かすかな、しかし確かな希望の光が、再び灯った瞬間だった。この光を、光希は決して手放さないと心に誓った。
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