絆の光は未来へ

一般病棟 リハビリ

ICUでの病状説明から数日後、あゆかは無事に一般病棟へと移ることができた。ICUの個室とは異なり、日差しが差し込む窓の外には、季節の移ろいを感じさせる緑が見える。

それでも、病室の壁は依然として白く、まだ完全に自由には動かせない体は、あゆかに現実の厳しさを突きつけていた。

光希は、あゆかの一般病棟への移動後も、毎日のように彼女の病室を訪れた。主治医としての回診に加え、休憩時間や仕事終わりにも顔を出し、彼女の小さな変化も見逃さないように見守った。蓮も、変わらず献身的にあゆかのそばにいた。

本格的なリハビリテーションは、一般病棟に移ってすぐに始まった。理学療法士と作業療法士が、あゆかの状態に合わせて一日のスケジュールを組んでくれた。

初めは、ベッド上での関節可動域訓練や、寝返りを打つ練習からだった。

「佐々川さん、もう少しですよ。ゆっくり、肘を曲げて」

理学療法士の声が病室に響く。あゆかは顔を歪ませながら、懸命に腕を動かそうとする。

しかし、脳炎の影響で、手足の運動機能は思うように回復していなかった。特に、細かい指の動きや、バランスを取る動作が困難だった。

「っ……くっ……動かない……」
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