五妃伝 ~玉座に咲く愛~
第1部 魂の共鳴、市場の出会い
玄曜は、まだ27歳の若き皇帝だった。
天蒼国九代目皇帝を継いで5年。
若き皇帝は、庶民の暮らしを無下にしてはならないと自ら市場へ向かう人だった。
もちろん、庶民に知られてはいけない。
部下を伴っているがあくまで商人を装って通りを歩いていた。
家臣の陳亮は、いつも玄曜の側にいた。
「今日はどこに行かれますか?」
年若い王の信頼厚く、護衛として常に側に仕えている男である。
「北市の外れに占いの屋台が出ていると聞いた。妙な話だが、当たると評判らしい。」
玄曜の声は静かだったが、どこか興味を含んでいた。
「陛下……占いなど民間の戯れ言にございます。」
「だからこそ、見てみたいのだ。民の心がどこに向かっているかを、な。」
天蒼国九代目皇帝を継いで5年。
若き皇帝は、庶民の暮らしを無下にしてはならないと自ら市場へ向かう人だった。
もちろん、庶民に知られてはいけない。
部下を伴っているがあくまで商人を装って通りを歩いていた。
家臣の陳亮は、いつも玄曜の側にいた。
「今日はどこに行かれますか?」
年若い王の信頼厚く、護衛として常に側に仕えている男である。
「北市の外れに占いの屋台が出ていると聞いた。妙な話だが、当たると評判らしい。」
玄曜の声は静かだったが、どこか興味を含んでいた。
「陛下……占いなど民間の戯れ言にございます。」
「だからこそ、見てみたいのだ。民の心がどこに向かっているかを、な。」
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