すべての花へそして君へ②

目には目を歯には歯を


『気持ちいいとこ、全部教えて――……』


 心臓が止まるかと思った。昨夜そんなことを言っていた彼の、とっても可愛い寝顔がドアップで拝めるなんて。


「ん……。おき、た……?」

「お、起きた」

「そ、か。……はよ」

「お、おはよう……ございます」


 いいえ、正しくは鼻血が出そうになったの間違いです。そんなもの持ってこられて、鼻血が我慢できるかっての。するけどしなきゃ不味いけど。


「……ん? なんで鼻押さえてるの……」

「き、危機を察知したので……」

「……寝起きで頭働いてないんだから、高度な突っ込み求めないで……」

「ご、ごめん」


 まだ覚醒していないヒナタくんは、「だいたいあおいはー……」と、むにゃむにゃ何かを言いながら抱き枕の如くむぎゅーっと抱きしめてくる。……だ、だいたいわたしは何なのだろうか。
 それが気にならんこともなかったけれど、それ以上に首元辺りの違和感が、妙に気になって気になっ――


「って、ええー!!!!」

「……っ、うるさいなあ」

「ちょちょちょ! ひ、ヒナタくんっ!!」

「だから、何」


 未だに眠いらしく、目をウリウリと擦っている彼の目の前に、ブツをよ~く見えるように突き出す。
 何ですかこれ。ナンデスカコレ。なんですかこれえー!!


「……え? 指輪以外の何に見えるの」

「違う。今はそんな回答求めてないのっ」


 いつの間にか首に掛かっていたネックレス。そのチェーンのトップに、丸い丸いリングが。


「朝起きたらプレゼントなんて! クリスマスみたい!!」

「そーだねー」

「サンタさんありがとう!!」

「そーだねー」

「サンタさんほんとありがとうっ!」

「そーだねー」

「ヒナタさんありがとー!!」

「ハイハイよかったね~」

「……今じゃないの、プロポーズ」

「違うね」


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