すべての花へそして君へ②

バイバイシークレット


 後夜祭が始まり、生徒会の仕事も一段落した頃だった。擦れ違いざまに、微かな声が耳に届く。


『ひと通り終わったら来て』


 慌てて振り向いて、一体どこに行けばいいんだと、感情を露わにして問い詰めようとしたけれど、それもままならなかった。


『待ってる。もう、逃げないから』


 彼が、あまりにも申し訳なさそうに笑うから。涙を隠して、笑うから。
 だから、それ以上は何も言わなかった。訊かなかった。

 しばらく時間をおいて、自分の気持ちの整理をして。賑わっている会場を一通り見回してから、わたしは彼の待っている場所へ、足を運んだ。


「いるんだろうな。ここに……」


 過去にこの扉を開けて、その後にどんなことが起こったか。忘れるわけもない。忘れられるものか。……もう、忘れてなるものか。


(やっぱりいた)


 ここは、君が過去を話してくれた場所だ。
 ここは、君がわたしを助けると言ってくれた場所だ。
 ここは、君がわたしを泣かせてくれようとした場所だ。


(たとえ、君にどんなことを言われようとも――)


 最後まで、聞こうじゃないか。
 ……そして、言わせてもらおうじゃないか。


「来たよ。ヒナタくん」

「うん。待ってたよ、あおい」


 ――――君の笑顔は、わたしが絶対守る。


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