すべての花へそして君へ③

“未だに未練たらたらだったところをバッサリ振られたこと”


「くらいかな」

「いやだから、何でどいつもこいつもそのこと知ってんだっつの……」

「あれ。おーい九条くーん」

「あー鷹人、悪いけど俺一人で飲み直すから。お前どっか行って」

「えー酷い。せっかく手伝ってあげたのに」

「お前とあの人に関しては敵認定だから」

「え? あの人って?」

「思い出したくない」


 人がしまっておきたい秘密を、頼むから引っ張り出してくれるな。

 半泣きで耳を塞いだ俺は、108つの鐘が鳴り終わるまで。自分の欲望と戦い、そして飲み明かすことにした結果、二日酔いならぬ三日酔いでバカップルたちに心配される羽目になったのだった。


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