性、喰らう夢



「夏目先輩に、聞いてみた方が良いのかな」



 依央に対してそう言ってみると、彼は眉をひそめながら、何とも言えない表情をしてみせた。



「危なくね。それで本当に夏目先輩がいじめに関わってたらどうするわけ?」

「どうなっちゃうんだろう……」



 全く想像がつかなかった。というか私はそもそも、先輩がこの件に関わっているということに対して懐疑的だった。

 別に、須藤さんと夏目先輩の仲が良いからと言って、夏目先輩を疑うのはすこし行き過ぎている気がする。

 けれど、少しでも可能性があるのなら、これからも夏目先輩のところで安心して眠るためにも、不要な疑いは晴らしておきたい。



「聞くなら遠回しに、じゃないか」

「……カマかけるって、感じ?」

「そう」



 私にそんなことができるだろうか、と不安になった。それでも、夏目先輩の無実を証明するためにはそうするしかないのかもしれない。

 膝を抱えながらため息をつく。依央は少しだけ考え事をしている様子だった。


 踏まれた手が痛かった。無性に夏目先輩に会いたかったはずなのに、こんな話をした後じゃあ、彼に会うのが億劫になる。



「なあ、お前さ」



 地面を見つめる私に対して、依央が声をかけてきた。なに、と返事をすると、彼は少しだけ気まずそうな顔をした。

 嫌だったら全然答えなくても良いんだけど、と前置きをした後に、彼は口を開いた。



「お前って、祥平と付き合ってるってこと?」



 でも、夏目先輩の話も出てきたし、と言って彼は混乱している様子をみせた。


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