キミに伝えたいことは。

トラウマ

ある日、私とりのちゃんはいつも通り、2人で下校していた。
通学路には横断歩道があった。私は信号が緑になったので、渡ろうとした。
─その時だった。
『危ない!』
りのちゃんの大きな声が聞こえた。こんな大きな声、聞いたことがなかった。
ふと右を見ると、車が来ていて、距離はものすごく近かった。体が硬直して動けない。逃げれない。

私、死んじゃうのかな。

そう思った時、背中に大きな衝撃があった。
─ドンッ
鈍い音が聞こえた。
『キャー!』『救急車を呼んで!』
人々の声が聞こえてくる。
痛さは全くなかった。なぜなら、
りのちゃんが私の代わりに引かれたから。
すぐに分かった。りのちゃんが引かれてしまったのだと。
りのちゃんだけでなく、一応私も怪我をしていた。
りのちゃんの事ばかり考えていて、痛さなんて感じなかった。
自分のことなんかより、大切な、大好きな、この世に1人しか居ない親友を今、失ってしまうかもしれないのだから。
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