売られた少女はクールな闇医者に愛される
「まず少し状態見るな。」

そう言ってライトを当てられる。




あの時と同じだ……。
服を脱がされ、押さえつけられて、眩しいくらい明るくなって、激痛が……




「やめて!!!」


雪菜が慌てて飛び起きる。

冬弥は目を見開いた。



「どうした??雪菜??」


雪菜の目が怯えに変わっている。


「怖い…。」

雪菜はカクカクと震え出した。


「あの時、服脱いで、抑えられて、無理やり……痛みが……。」

冬弥はぎゅっと雪菜を抱きしめる。


「怖かったな。」


冬弥はそう言って、抱きしめたまま、背中を撫でる。


すると安心したかのように雪菜の震えが止まっていく。


「あっ、すみません。私こんな格好で…。」

雪菜は上半身裸の自分が恥ずかしくて、慌てて離れようとする。

しかしそのまま冬弥に抱きしめられる。
それが恥ずかしくて、体が赤くなる。


雪菜が離れようとすると、冬弥がまたぎゅっと抱きしめた。


「辛い思いをしたんだ。そりゃ怖くて当たり前だ。無理に自分の気持ち隠さなくていい。怖いものは怖いって言っていいから。」


冬弥に言われて、雪菜も冬弥に腕を回す。


「冬弥さん…。怖かったです。治したいけど、私…」


冬弥は抱きしめたまま、雪菜と呼ぶ。
伏し目がちな雪菜と目が合う。


「今から薬使って、眠ろうか。寝てる間に終わらせる。起きたらもう終わってるから。」

冬弥がニッコリ微笑んで言うと、雪菜はこくりと頷いた。


今回の治療は部分麻酔でやろうと思っていた。動くと危ないため、多少拘束とかもしなくてはいけない。それが雪菜にとって恐怖の対象になると感じた。

治療中、怖くなっても止めてはあげられない。寝ている間に終わらせることが得策と判断した。
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