ウェルカム・トゥ・トリックスター
「真涼ちゃん!」

グイグイ引っ張られ、結局ここまで来てしまった。
もうこのドアを見るのは何度目だろう。

「新しくドアプレート作ったんだ~!」

「全然名前覚えられねぇからなッ」

「これならパッと見てわかるからいいよね~!」

「あの、ちょっと待ってちょっと待って…!」

うん、待って?

なんかあたかもそれっぽくなってるんだけど、あたしまだ何も言ってない!

「あたし隠れ部入るって言ってません!」

そんなことひとことも…っ

「どーせ暇だろ?彼氏とも別れたし」

「な…っ」

フンッって鼻で笑われた…!


むかつく…っ 



むかつくけど…



「真涼ちゃん、真涼ちゃん!違うよ、ここは隠れ部じゃないよ!」

このひっそりと隠れたここが居心地よくなってしまった、気が付いたらここにいられることが楽しくなってたの。

彼氏と別れたし…

もう大丈夫って思うようにしてたけど、本当に大丈夫な気もするんだここにいたら。

そんな風に思わせてくれる。



ここはそんな場所だから。



だから、まぁいいよ。

部に昇格できるならあたしがどうにかしてあげるよ。


燎くんがドアノブに手をかける、ドアにかかったネームプレートがピカピカしてた。




「ようこそ、トリックスターへ!」
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