Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
「藤原 小夜さんですね。ケガをした時の状況を教えてください」
小夜の代わりに、男性がドクターの質問に答えていく。
「なるほど。ホテルのエントランスの石畳に倒れて、頭を打ったのですね。藤原さん、今どこが痛みますか?」
「後頭部と右の手首です。あの、検査は頭だけでなく、手首も診ていただけますか? 明日仕事ができるかどうか、心配なので」
「わかりました。どういったお仕事なのですか?」
「昼間は楽器店で接客業を、夜は週末だけホテルのバーでピアノを弾いています」
すると男性がハッとしたように小夜を振り返った。
どうしたのかと思いつつ、「へえ、ピアニストなんですね」とドクターに言われて返事をする。
「いえ。音大は出ましたが、ピアノで食べていけるほどではありせん」
「そうですか。週末だけ弾いているのですね、わかりました」
電子カルテの入力を終えると、ドクターは顔を上げた。
「では頭部のCTと手首のレントゲンを撮りますね。付き添いの方は待合室でお待ちください」
「はい。よろしくお願いします」
男性は立ち上がると、深々とお辞儀をして診察室を出ていった。
小夜の代わりに、男性がドクターの質問に答えていく。
「なるほど。ホテルのエントランスの石畳に倒れて、頭を打ったのですね。藤原さん、今どこが痛みますか?」
「後頭部と右の手首です。あの、検査は頭だけでなく、手首も診ていただけますか? 明日仕事ができるかどうか、心配なので」
「わかりました。どういったお仕事なのですか?」
「昼間は楽器店で接客業を、夜は週末だけホテルのバーでピアノを弾いています」
すると男性がハッとしたように小夜を振り返った。
どうしたのかと思いつつ、「へえ、ピアニストなんですね」とドクターに言われて返事をする。
「いえ。音大は出ましたが、ピアノで食べていけるほどではありせん」
「そうですか。週末だけ弾いているのですね、わかりました」
電子カルテの入力を終えると、ドクターは顔を上げた。
「では頭部のCTと手首のレントゲンを撮りますね。付き添いの方は待合室でお待ちください」
「はい。よろしくお願いします」
男性は立ち上がると、深々とお辞儀をして診察室を出ていった。