響け!猛毒のグラーヴェ
「おいしいです」

「ああ。ここのビールはうまいだろう?軍の奴らも気に入ってるんだ」

しばらくは互いの近況や幼い頃の思い出話に花を咲かせていた。しかし、ふとルートヴィッヒが「そういえば」とビールのグラスを置く。その目は先ほど幼い頃にした悪戯の話をしていた時とは違い、真剣なものだった。

「何でしょうか?」

「レオン。最近、新しい事務員を雇ったらしいな」

「はい。レークヴィエムでの事件で人身売買に遭った被害者です。それが何か?」

「確か、名前はリズと言ったね」

ルートヴィッヒはビールを一口飲む。そして、「言うべきか迷ったが」と前置きをして話した。

「リズ・ポッターはこの世に存在しない」

「えっ?」

レオンハルトは驚きのあまり、ビールを落としてしまいそうになる。リズの顔が頭に浮かんだ。彼女は確かに名前をリズ・ポッターと名乗った。レオンハルトも、他の探偵事務所メンバーもリズをリズとして認識している。
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