香りが導くその先に
琉生が忽然と姿を消してから、半年が過ぎようとしていた。仕事は変わらず忙しかったが、紗奈の心はどこか空白を抱えていた。
今思えば、あの日プレゼントされたシルバーピアスは、琉生なりの別れの挨拶だったのかもしれない。シルバーアクセサリーには、魔除けや幸運を招くお守りのような効果があると耳にしたことがあった。
ふと、琉生がよく口にしていた言葉が脳裏に浮かんだ。
『どんなことにも必ず意味がある』
それならば、この辛く悲しい別れにも、何か意味があるのだろうか。
琉生に会いたい気持ちは薄れることがなく、日に日に増していくばかりだった。それは、部屋に満たされたバニラの香りのせいかもしれない。
数日後、紗奈は思い切って上司に相談した。
「心と体をリフレッシュしたいんです。ちょっと、旅に出たくて」
長期の休暇は簡単ではなかったが、粘り強く交渉し、なんとか了承を得ることができた。
目的地は、微笑みの国――タイ。
確証はなかった。ただ、アジアに魅了された琉生の『いつか暮らしてみたい』の言葉が頭から離れなかったのだ。もしかすると、もう既に夢を叶えているのかもしれない。
主な仕入れ先としていたタイには、友人や知り合いが多くいるとも語っていた。行くとすれば、そこなのではないかと考えた。たとえ会えなかったとしても、何か手掛かりを掴めるかもしれない。
琉生が愛したアジアの魅力を、実際に自分の目で見て、肌で感じて、確かめることで、少しでも彼を近くに感じていたいという思いがあった。
今思えば、あの日プレゼントされたシルバーピアスは、琉生なりの別れの挨拶だったのかもしれない。シルバーアクセサリーには、魔除けや幸運を招くお守りのような効果があると耳にしたことがあった。
ふと、琉生がよく口にしていた言葉が脳裏に浮かんだ。
『どんなことにも必ず意味がある』
それならば、この辛く悲しい別れにも、何か意味があるのだろうか。
琉生に会いたい気持ちは薄れることがなく、日に日に増していくばかりだった。それは、部屋に満たされたバニラの香りのせいかもしれない。
数日後、紗奈は思い切って上司に相談した。
「心と体をリフレッシュしたいんです。ちょっと、旅に出たくて」
長期の休暇は簡単ではなかったが、粘り強く交渉し、なんとか了承を得ることができた。
目的地は、微笑みの国――タイ。
確証はなかった。ただ、アジアに魅了された琉生の『いつか暮らしてみたい』の言葉が頭から離れなかったのだ。もしかすると、もう既に夢を叶えているのかもしれない。
主な仕入れ先としていたタイには、友人や知り合いが多くいるとも語っていた。行くとすれば、そこなのではないかと考えた。たとえ会えなかったとしても、何か手掛かりを掴めるかもしれない。
琉生が愛したアジアの魅力を、実際に自分の目で見て、肌で感じて、確かめることで、少しでも彼を近くに感じていたいという思いがあった。