姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
――それからの毎日は、まあ知っての通り。
H2Oっていうよく分からない呼称が勝手につけられて、騒がれて。
なんだか賑やかに過ごしている――けど、心の中で俺は涼ちゃんを見下してて、真くんを嫌っている。
そこにひーちゃんも加わって、毎日が異常に騒がしくなった。
嫌われ者のクセに、愛されて育った奴特有の真っ直ぐさを持った女の子。
涼ちゃんも真くんもそんな彼女に懐柔された。
ひーちゃんは俺の“安心”を全部奪っていった。
賑やかな日々に溶け込むようにバカやってみたけど。
本当に笑えた日だってもちろんあったけど。
やっぱりダメだった。
いつからか、空いた穴がずっと埋まらない。
俺の居場所がなくなってしまった。
だから、呑気にしてるのを見ると無性に苛ついて、その心を掻き乱してやりたくなる。
「そういうことだから、いい機会だしもう俺に関わらないでくれる?」
固い表情のひーちゃんを見下ろして、俺は静かに笑う。
心の中は真っ黒だ。
ぬるま湯にはもう浸かれない。
一瞬だけ躊躇う心臓の鼓動を、喉の奥で無理やり殺した。
――さぁ、穏やかな日々と決別しようか。