姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「こぉんな面白いもの拾ったら行くしかないでしょ~?ね、涼ちゃん。」

「…だな。」

小さく頷く近江涼介に、榛名聖は満足げな笑みを浮かべる。

「でもって、集団リンチってのも珍しいから暫く見学してたんだよ。」

へんっとでも言いそうなくらい得意げに、仁王立ちした金髪が続ける。

「そんなこと言って~。
涼ちゃんが止めなきゃ真っ先に飛び出してってたでしょ、まーくん。」

「なっ…ちげーよ!あれは最前線で見てやろうとだな…っ!」

微かに顔を赤らめて否定する金髪の頬を、榛名聖が面白がるようにつつく。

金髪もやっぱり悪い奴ではない。むしろいい奴。
絶対言わないけど。


……ところで、“暫く観戦”ってことは、やっぱりいいタイミングを見計らってたわけだ。

少女漫画の見せ場のカラクリ、暴いたり。
嘆かわしい、とばかりに額に手を当て盛大に溜息を吐いた。

「私がブチ切れるのを待ってたってわけね……
女共全員の王子様ってのも大変ね。」

「何言ってんだお前。」

無機質で淡白な声が嘆きをバッサリ切り捨てた。
そして、近江涼介は続ける。

「俺達が止めに入ったら、お前ずっとあの気持ち悪い女のままだっただろ。」

曇り空が晴れて窓いっぱいに光が差し込む。

――私は一体、何度驚けばいいんだろう?

「気持ち悪い訳ないでしょ、私のぶりっこは世界一可愛いんだから!」

「言ってろ、ブス。」

…だから私も、動じてないフリをしてやる。

「今に見てなさい!“姫様にメロメロです”って言わせてやるんだから!」

「…………。」

「無視!?」

折角腰に手を当てて指差しまでしてビシッと決めたのに!

金髪は本気で気持ち悪がってるし、榛名聖は一言余計。
近江涼介に至っては完全無視ときた。

「ほんと、失礼な奴ら!」

でも、満更でもない私がいる。


なんでそんな気持ちなのか――
よくわからないけど、とりあえず。

もうちょっとだけ、私の復讐に付き合ってもらうね?



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