姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#花火と疑惑の夏祭り
Ep.90 待ちぼうけ
夏休み
頭に響く
蝉の声
――藤澤 姫 心の一句
夕暮れ時、寂れた神社の境内。
古めかしいが大きく広い敷地内の参道には、ずらりと屋台が並ぶ。
そこにたくさんの人がひしめいて、ワイワイガヤガヤ楽しそうにしている。
そんな中、苔むした石造りの鳥居の前で私は1人ポツンと立っている。
喧しく鳴き続ける蝉の声をかれこれ30分延々と聞き続けていて、頭がおかしくなりそうだ。
思わず一句読んでしまうほどに。
つまり、何が言いたいかっていうと……
「アイツらおっそい……ッ!」
人通りの多い鳥居前で、私は1人鬼のような形相で立っている。
清楚な浴衣を着た美少女が急に般若みたいになったもんだから、通りがかりに見惚れていた奴らがギクッとした顔をして足早に鳥居を潜って去っていく。
待ち合わせの時間から、すでに15分は経っている。
私なんて楽しみすぎて定刻より早めについてしまったというのに、やる気なさすぎないかアイツらは!