姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

AM10:35

AM 10:35
2時間目の終業を告げるチャイムが鳴り、クラスメイトたちが一斉にバタバタと立ち上がる。
3時間目は選択科目の授業。つまり移動教室があるからだ。

今回の選択科目は、音楽・家庭科・書道・美術の中から好きな教科を選択する。
ちなみに俺達4人は全員書道。

周りと協力したり息を合わせたりする必要がある音楽と家庭科は論外だったし、美術はキャラじゃないし、静かに自分と向き合うだけの教科が楽でいいでしょ?

多分他の3人も同じ意見でそうなっている。
全員協調性皆無だし。

まーくん、ひーちゃん、俺は3人連れ立って立ち上がり、涼ちゃんを席まで迎えにいく。

「近江涼介、行くわよ。」

ひーちゃんに言われて気怠く立ち上がった涼ちゃんも加わって、俺達は教室を後にした。

AM 10:45
特別教室棟3階の和室には、炭の匂いが充満している。
白い制服に墨が飛んでは大変なので、深い緑のエプロンを全員がつけて座卓の前に正座して静かに書を揮毫(きごう)する。

今日のテーマは「夏の思い出」。
夏休みを振り返って、各々好きな文字を書く課題だ。

俺の右隣ではひーちゃんがルンルンで迷いなく手を動かしている。
対照的に左隣でまーくんがウンウン唸って手を止めている。
そのさらに向こうで涼ちゃんも何か考えているような顔をしていて、書き上げるのにはまだかかりそうだ。

(夏休み、いろいろあったけど俺は何を書こうかなぁ。)

そんなこんなしている間に、作業時間が終わってしまった。
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