姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

宿に辿り着いた時の大騒ぎを思い出す。

宿に入った途端に私はジャガイモ共に、広瀬真と榛名聖は女共にドッと囲まれ「心配した」だのごちゃごちゃ言われ。
続いて鬼の形相の教師陣に詰め寄られ、騒がれたり怒られたりと何が何だか分からぬうちに今に至っている。


栗谷天音はと言うと。
人混み越しに見た時は友達らしき女数人に心配そうにされながらも、事情を知りたい別の奴らにも迫られて困ったみたいな顔をしていた。

……そして、栗谷天音の友達は私が彼女に何かしたとでも思ったのか怪訝そうに私を睨んでいた。

(別に何もしてないっつーの!)

思い出したら腹が立つ。
まだ真っ白な作文用紙にシャーペンを突き立てて握りしめながら怒りを堪えていると、近江涼介がじっとこっちを見て言った。

「不機嫌。なんか思い出した?」

なんでわかるのよ、怖っ。

図星を突かれてム、と唇を尖らせる。素直に認めるのもなんか悔しくて、そっぽを向いた。
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