姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.161 修学旅行エピローグ
「あーぁ、眠っ。なんかどっと疲れたな。」
広瀬真が帰りの新幹線の座席に深く腰を落としながら言った。
最終日の観光はつつがなく終わり、それなりに賑わっている車内。
入り口目の前の2人掛けの座席を向かい合わせにして、私と榛名聖、向かい側に近江涼介と広瀬真という布陣で座っている。
「まさかあんな事件が起きるとは思ってなかったよね〜。
ひーちゃんてどこ行っても無茶するよねぇ。」
榛名聖がお菓子を振る舞いながらヘラヘラと笑う。
それに反論しかけて、そういえば置き去りにされたのではなく偶然迷子になった設定だったことを思い出す。
仕方なく顔を顰めるだけに留めた。
「庇ったんだろ?俺達のこと。」
――留めた、はずだったのに。
感情を気取らせない近江涼介の目が“なんでもお見通し”とばかりに私を貫く。
「なんで知ってるの!?」
思わず私の真向かいで飄々と座っている近江涼介を指差す。
動揺してしまった私とは対照的に、近江涼介は冷静なままだ。
「騒ぎになってた時に姫の班の男子から聞きだした。
女子と派手に喧嘩もしたらしいな。」
「〜〜っ!!」
全部知ってたのかよ!
喧嘩したことに後悔はないけど、近江涼介達のために動いたことを特に知って欲しいわけでもなかったし!
……今更バレるなんて、なんかカッコ悪いじゃないの。