姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「我儘だねぇ。かなり酷なこと言ってるよ〜。」
私の家のリビングで、榛名聖はお茶菓子片手に朗らかな笑顔でバッサリとそう切り捨てた。
「そうなの!?どうしてもだめ!?」
「ダメかはわからないけど、傷付かないは無理じゃないかなぁ。
だって応えられないでしょ?ひーちゃんはまーくんの恋心に。」
「それはまぁ、そう。」
「あは、少しも迷わないねぇ。潔くて好感持てるな〜。」
「そういうのいいから!」
鬼気迫る様子の私に少しも圧されることなく榛名聖は「つれないなぁ」と、ふわふわへらへら笑っている。
「どういう話をするつもりかわからないけど、気持ちに応えられない以上傷つけないなんて無理だよ。
まして“振ったけど変わらず友達でいてね”
――なんて人によってはすごく残酷な要求だしね〜。」
表情に反して榛名聖の言葉はストレートで的確で、反論の余地がない。
「そっか……そうよね。うん……。」
自分勝手な我儘言ってるって、本当はわかってる。
わかってるけどそんな願いを手放せない。
だから、いつまでも立ち止まっているのだ。
シュンと俯いた私を見て、榛名聖は“仕方ないな”と言うように小さく笑いながらため息をつく。
そして子どもを諭すように話をした。
「このままでいたいなら、“消化してる” “返事はいらない”って言われたのを信じて、まーくんの恋心なんて無かったことにすればいいんじゃない?
そしたら表面上は友達のままでいられるし、まーくんの気持ちは時間がきっと解決するよ?」
「それじゃ嫌なの!」
差し伸べられた手を振り払うように強く反発した。