姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.222 変化の兆し
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴って、昼休みが始まった。
今年は受験の年でクラスメイト達もピリピリしていることと、昨年度の騒動が問題視されたおかげで3年のフロアに他学年生が立ち入ることが禁止になったらしい。
つまり、私たちの元に下級生が押しかける心配がなくなったと言うことで、心穏やかに過ごせている。
「学校側もちゃんと仕事する時はするみたいね!
さ、早く旧校舎に行こー。」
4人連れ立って廊下を足早に歩く。このフロアの安全は確保されているけど、それ以外は話は別。
去年の粘着を思えば、うかうかしてると階段下とか侵入できるギリギリのラインまで下級生が押しかけかねない。
ルートを慎重に選んで、なんとか新校舎の出口まで辿り着いた。
「ふ、藤澤先輩!」
雑木林の入り口まで来ると、女の声に呼び止められた。
見れば一目で新入生とわかる4・5人グループが緊張した面持ちでこっちを見ている。
「私?」
H2Oもいる中で私を名指しした不可解さに怪訝な顔をして自分を指差す。新年度一発目の喧嘩を売られるのかしら。
でも、コイツらの目の前でそれをやろうって言うならなかなか根性のある奴じゃないか。
1年の女共は小走りで私のところに駆け寄ってくる。
それでとっさにファインディングポーズをとったのに、私を見つめる顔は予想外のものだった。
「あのっ去年のミスコン見ました!SNSの写真も大好きで……!
あの、ファンです!握手してくださいっ!」
頬を赤らめながら思い切りよく手のひらを差し出されて面食らう。
周りにいた女達も同じ様にモジモジしながら「あの、私も!」と順番待ちをし始めた。