この偽装恋愛、もしやとてつもなく甘い…? 傍若無人な御曹司がこんなに愛してくるなんて聞いてないですっ!
「観覧車から見下ろす遊園地のイルミネーションは、さらに喜んでほしくて用意させた」

 夜の密室空間に国見くんと二人きり。

「どう、気に入った?」

 満月に見つめられながら、観覧車のガラスに手をつきうなづくことしかできない私の背中に

「良かった、でもね」

 と、切なく揺れるオス声が溶ける。

「高校のクラスメイトじゃなくて、男として俺のことを意識して欲しい」

 背後に立つ国見くんの声とぬくもりが、どんどん甘さを増していく。

「こっちを向いて」

 心臓がくすぐったい。

「さらの瞳は、俺を映すためだけに存在してくれればいいのに」

 振り返る余裕なんてどこにもない。
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