漂う花は、還り咲く

楽しそうに言われて、ちょっとだけムッとする。

「……受かったけど」

ぴたり、と空気が止まる。


「は?」


さっきと同じ声なのに、今度は少しだけ驚きが混ざっていた。

「受かってたよ。普通に」


何でもないことみたいに言うと、晴がじっとこっちを見る。


「……まじで?」

「うん」


軽く答えると、一瞬だけ空気が止まる。


「なんで来なかったんだよ」


その問いに、少しだけ考えてから答える。

「んー……ちょっと学費高かったし」


肩をすくめる。

「それに、別にそこまで勉強頑張ったわけでもないし」


思い出すのは、あのときの空気と、少しだけ迷った自分。

「施設には他にも頑張ってる子いっぱいいたしさ。そういう子にお金は回したほうがいいかなーって」


あくまで軽く、何でもないみたいに言う。


「……あとはまあ」

くすっと笑う。


「不良校って、ちょっと楽しそうだったし」

「それで入ったのかよ」


呆れた声に、笑ってごまかす。


「結果オーライじゃん?」

「……変なやつ」


小さく呟いた晴の声は、どこか納得してるみたいだった。


「じゃ、入るか」


ガラッと扉を開ける。


中は少し暗くて、机やロッカーが不自然に配置されている。

いかにも“仕掛けあります”って感じ。


「制限時間は15分でーす」

係の人が軽く説明する。


「ヒントもあるけど、使う?」

「いらない」

千隼の言葉に思わず即答していた。


「おー、いいね」

後ろから、みんなが面白そうに見ているのが分かる。


「じゃ、スタート!」

扉が閉まる音と同時に、空気が少しだけ張り詰める。


「さて、と」


ぐるっと教室を見渡す。

黒板、机、ロッカー、掲示物。


一見バラバラだけど——
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