百花繚乱
そんな様子も他の使用人から見れば、珍しい事のようで。

「紳太郎様に、手を振ってもらえるなんて、うらやましい。」

と言われていました。

心から嬉しく思いましたね。

そんな時は、自分でも驚くくらいに、優越感に浸っていました。


人を想う気持ちというのは、本当に不思議なもので、日増しに募っていく時もあれば、このまま穏やかに、ただ想うだけでいいのだという時もあります。

私はとにかく、紳太郎様の側にあって、紳太郎様のお世話ができることが、本当に幸せでならなかった。

その一方で、倫太郎様のお世話係りであったのにも関わらず、紳太郎様ばかりに目を向けてしまっていた。

そのつけが、とうとう、回ってきてしまった日があったんです。


それは、倫太郎様が医学の学校を、卒業なさる時。

入れ違いで紳太郎様も、同じ医学の学校へ、入学が決まった頃でした。

そうなんです。

倫太郎様は、私が他所見をしている間に、すっかり大人になっておいでだったんですね。

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