百花繚乱
冗談であって欲しい。

それは無意味な願いでした。

私の言葉が、返って倫太郎様のお心に、火を着けてしまったんだと思います。

「ど、どうしたら……僕の気持ちが本気だと分かってもらえるんですか?」

「倫太郎様…」

「こんなにも……あなたの事で、頭がいっぱいだと言うのに…」

倫太郎様の腕が再び私を包むと、その場に押し倒されて……

そこで大きな声を出せばよかった。

でも、倫太郎様のどうにもならない気持ちを、吐き出したいのも分かるんです。

自分もそうでしたから。

そのまま私は、倫太郎様に身を任せて、その熱い吐息に受け止める事にしたんです。


「すみません。突然、こんな事になってしまって……」

着物を直す私を、後ろから抱きしめて、倫太郎様はそう仰いました。

「まるで、夢を見ているみたいだ。あなたと、今こうしていうことが……」

倫太郎様は、私をご自分の胸に抱き寄せ、ずっと私を撫でで下さいました。

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