伝えたい想いは歌声と共に
再会
軽音部の部室は、部室棟って呼ばれる建物の中にある。
その部室棟へ入ると、どの部も新入部員獲得に向けて動いているからか、とても賑やかだった。
「君、もう入る部活は決めたの? よかったら見学していかない?」
私も早速声をかけられるけど、ごめんなさい。入る部活は決めてるんです。
やんわりと断って、軽音部の部室に向かう。聞いた話だと、確か、二階の隅にある空き教室だ。
たどり着いて扉に手をかけると、鍵はかかってなくて、すんなり開いた。
「失礼します」
小さく挨拶をしながら、中の様子を窺う。
けど部屋の中には誰もいなくて、ガランとしていた。
まあ、部員はゼロかもしれないって聞いてたから、誰もいないのも当然か。
中に入って黒板を見ると、そこにはこう書いてあった。
【軽音部へ入部希望の方は、職員室まで──】
職員室ってことは、本校舎まで戻らなきゃ。
少し面倒だけど、仕方ないか。
部室を出て、そばにある階段を下りていく。だけど、階段を降りて一階についたところで、ふと足が止まった。
「部室……階段……」
どうしてだろう。なぜかその二つの言葉が頭に浮かんで、ぐるぐると駆け巡る。
同時に、ズキリと胸に痛みが走った。
そして、ずっと昔に聞いた言葉が甦えってくる。
『学校の階段から落ちて、頭を強く打ったんだって……』
ユウくんが亡くなった日、お母さんが言ってた言葉だ。
後になって聞いた話だと、ユウくんは、部活に向かう途中に階段から落ちたんだって。
そして、軽音部の部室の一番近くにある階段がここだ。
つまり、この場所が……
「ユウくんの、亡くなった場所」
口にした瞬間、またズキリと胸が痛んだ。
足がふらついて、目に映る景色が大きく揺れる。何だか、酷く気分が悪い。
(もう、何年も前の話なのに、どうして今更、こんなにもショックを受けるんだろう)
もちろん、ユウくんのことを忘れる気なんて無い。
けどだからって、こんな風に引きずったままでいいかというと、多分違うと思う。
「ダメだな。こんなんじゃ。ユウくんが天国で安心できるように、しっかりしなきゃいけないのに」
これは、ユウくんに最後のお別れを告げた時、心の中で決めたことだった。
大きく息を吸って吐いてを繰り返し、呼吸を整える。
すると階段の上から、心配そうな声が聞こえてきた。
「君、具合悪そうだけど、大丈夫?」
誰? 今の、見られてたのかな?
けどまさか、何年も前に亡くなった人を思い出して落ち込んでたなんて思わないよね。
「へ、平気です」
誰だかわからないけど、変に気を使わせちゃったらダメだよね。
そう思いながら、顔を上げ、声をかけてきた人に目を向ける。
そして相手の顔を見た瞬間、思わず息を飲む。
「な、なんで……」
そこにいたのは、一人の男子生徒だった。そして、私がとてもよく知る人だった。
だけど、そんなはずはない。彼がここにいるなんて、あるはずがない。
「……藍?」
固まったままの私を見て、その人は私の名前を呼ぶ。
彼の名前は、有馬優斗。ユウくんだ。
ずっと昔に死んだはずのユウくんが、あの頃と同じ姿で、目の前に立っていた。
その部室棟へ入ると、どの部も新入部員獲得に向けて動いているからか、とても賑やかだった。
「君、もう入る部活は決めたの? よかったら見学していかない?」
私も早速声をかけられるけど、ごめんなさい。入る部活は決めてるんです。
やんわりと断って、軽音部の部室に向かう。聞いた話だと、確か、二階の隅にある空き教室だ。
たどり着いて扉に手をかけると、鍵はかかってなくて、すんなり開いた。
「失礼します」
小さく挨拶をしながら、中の様子を窺う。
けど部屋の中には誰もいなくて、ガランとしていた。
まあ、部員はゼロかもしれないって聞いてたから、誰もいないのも当然か。
中に入って黒板を見ると、そこにはこう書いてあった。
【軽音部へ入部希望の方は、職員室まで──】
職員室ってことは、本校舎まで戻らなきゃ。
少し面倒だけど、仕方ないか。
部室を出て、そばにある階段を下りていく。だけど、階段を降りて一階についたところで、ふと足が止まった。
「部室……階段……」
どうしてだろう。なぜかその二つの言葉が頭に浮かんで、ぐるぐると駆け巡る。
同時に、ズキリと胸に痛みが走った。
そして、ずっと昔に聞いた言葉が甦えってくる。
『学校の階段から落ちて、頭を強く打ったんだって……』
ユウくんが亡くなった日、お母さんが言ってた言葉だ。
後になって聞いた話だと、ユウくんは、部活に向かう途中に階段から落ちたんだって。
そして、軽音部の部室の一番近くにある階段がここだ。
つまり、この場所が……
「ユウくんの、亡くなった場所」
口にした瞬間、またズキリと胸が痛んだ。
足がふらついて、目に映る景色が大きく揺れる。何だか、酷く気分が悪い。
(もう、何年も前の話なのに、どうして今更、こんなにもショックを受けるんだろう)
もちろん、ユウくんのことを忘れる気なんて無い。
けどだからって、こんな風に引きずったままでいいかというと、多分違うと思う。
「ダメだな。こんなんじゃ。ユウくんが天国で安心できるように、しっかりしなきゃいけないのに」
これは、ユウくんに最後のお別れを告げた時、心の中で決めたことだった。
大きく息を吸って吐いてを繰り返し、呼吸を整える。
すると階段の上から、心配そうな声が聞こえてきた。
「君、具合悪そうだけど、大丈夫?」
誰? 今の、見られてたのかな?
けどまさか、何年も前に亡くなった人を思い出して落ち込んでたなんて思わないよね。
「へ、平気です」
誰だかわからないけど、変に気を使わせちゃったらダメだよね。
そう思いながら、顔を上げ、声をかけてきた人に目を向ける。
そして相手の顔を見た瞬間、思わず息を飲む。
「な、なんで……」
そこにいたのは、一人の男子生徒だった。そして、私がとてもよく知る人だった。
だけど、そんなはずはない。彼がここにいるなんて、あるはずがない。
「……藍?」
固まったままの私を見て、その人は私の名前を呼ぶ。
彼の名前は、有馬優斗。ユウくんだ。
ずっと昔に死んだはずのユウくんが、あの頃と同じ姿で、目の前に立っていた。