御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……結婚したんだって?」

その言葉に、私は思わず顔を上げた。

やっぱり、知ってたんだ。

「誰から聞いたの?」

「ほら、杉山っていただろ?」

「ああ……!」

懐かしい名前に、思わず微笑んだ。

大学時代、私と悠太と杉山君。いつも一緒だった。

私が悠太と付き合い始めた後も、ずっと変わらず、気さくで、何でも話せる友人だった。

「日本に戻ってきた時に、杉山と飲んで。その時に聞いた。」

「……そう。」

わざわざ、自分の口から知らせるほどのことじゃないと思っていた。

だから、私からは言わなかった。

でも、本当は——心のどこかで、知られたくなかったのかもしれない。

「交際0日婚だって聞いた。」

私は、小さくうなずいた。

その言葉に、悠太が少しだけ眉をひそめたのを、私は見逃さなかった。

「……大丈夫なの?そんな奴。」

静かな声だった。

でも、確かにそこに含まれていた感情——
心配、疑念、そして……僅かな嫉妬。
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