御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「でもね、律さんが手を繋いでくれるたびに、好きだって言ってくれるたびに、不安は少しずつ消えていくの。」

律さんの目が、ほんの少し潤んだ気がした。

「そっか。……俺も一緒だよ。」

「え?」

「千尋が時々、不安そうに俺を見る時、胸が痛くなる。だから、もっともっと愛したくなる。」

その声が、夜風よりも優しく、私の心に染み込んでいく。

「不安にさせてごめん。でも千尋。俺はこれからも、何度でも言うよ。俺が欲しいのは、千尋だけだって。」

そっと手を重ねて、ぎゅっと握る。

「……ありがとう。私も、律さんだけ。」

そう言って見上げると、律さんはふっと微笑んで、私の額に優しくキスを落とした。

不安も、涙も、全部そのキスに溶けていった。
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