御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……なんか、ロマンチックだね。」

「……そうだな。」

律さんの手が私の肩を抱き寄せる。

そのまま立ち止まり、頬にかかった髪をそっと払ってくれた。

「日本だと、こんなこと、あんまりしないけど……」

「ここでは、特別だろ?」

そう言って、律さんは私の頬にそっと口づけた。

優しく、けれど心の奥に染み込むようなキスだった。

波の音が、祝福のように耳をくすぐる。

「……初めての新婚旅行が、律さんとでよかった。」

「俺も。千尋とだから、どんな場所より、どんな景色より、いまが一番幸せだよ。」

その言葉が、胸の奥にずっと残った。

──私はいま、間違いなくこの人と“夫婦”になったんだ。

そんな実感が、潮風の中で静かに満ちていくのだった。

しばらくして辿り着いたのは、現地の雑貨やアクセサリーが並ぶ、リゾート地ならではの小さなショップだった。
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